ハイブリッドでもあまり燃費がよくないクルマ「買う基準」はどこにある?

■軽自動車のマイルドハイブリッドは燃費がよくない

49ps/5.9kgmを発生する657㏄直3エンジンに2.6ps/4.1kgmのモーターでアシストするマイルドハイブリッドを採用。減速時のエネルギーを利用して発電し、専用バッテリーに充電。加速時には、その電力を用いてモーターでエンジンをアシストし、燃料消費を抑制
49ps/5.9kgmを発生する657㏄直3エンジンに2.6ps/4.1kgmのモーターでアシストするマイルドハイブリッドを採用。減速時のエネルギーを利用して発電し、専用バッテリーに充電。加速時には、その電力を用いてモーターでエンジンをアシストし、燃料消費を抑制

 逆に燃費の良くないハイブリッドはどれか。燃費向上率が最も低いのは、軽自動車を中心に採用されるマイルドハイブリッドだ。モーター機能付き発電機を搭載して、減速時の充電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援を行う。

 いわば簡易型のハイブリッドで、新型車のワゴンRスマイルが搭載するマイルドハイブリッドのWLTCモード燃費は25.1km/Lだ。ノーマルエンジンは23.9km/Lだから、燃費向上率は5%に留まる。

 ワゴンRスマイルのノーマルエンジンには、アイドリングストップが装着されないので、燃費の節約効果もアイドリングの停止によるところが大きい。

 その代わりマイルドハイブリッドは価格も安い。ワゴンRスマイルの場合、ハイブリッドSはノーマルエンジンのGに比べて17万6000円高いが、この内の約13万円は、両側スライドドアの電動機能、運転席の上下調節機能、チルトステアリングといった装備で埋まってしまう。

 したがってマイルドハイブリッドの正味価格は約4万6000円だ。ストロングハイブリッドは、35万~60万円に達するので、マイルドハイブリッドは燃費の節約効果が少ない代わりに価格も安い。

 そのほか、スズキのマイクロハイブリッド搭載車のWLTCモード燃費は、ワゴンRが25.2km/L、スペーシアが22.2km/L、ハスラーが25.0km/L。

 モーターの最高出力は、スズキの場合で2.6~3.1ps、最大トルクは4.1~5.1kgmだ。燃費向上率はワゴンRで3%だから、このシステムだけで2030年度燃費基準に対応するのは難しい。

■フォレスターe-BOXER:WLTCモード燃費:14.0km/L

フォレスターのe-BOXER搭載モデルはツーリング、X-BREAK、アドバンス。パワートレインは145ps/19.2kgmを発生する水平対向4気筒DOHC 2L直噴エンジンと、13.6ps/6.6kgmを発生するモーターを組み合わせる
フォレスターのe-BOXER搭載モデルはツーリング、X-BREAK、アドバンス。パワートレインは145ps/19.2kgmを発生する水平対向4気筒DOHC 2L直噴エンジンと、13.6ps/6.6kgmを発生するモーターを組み合わせる

 スバルのe-BOXERも燃費が良くない。フォレスターのe-BOXERは、WLTCモード燃費が14.0km/Lで、スポーツが搭載する1.8Lターボは13.6km/Lだ。ターボが直噴式を採用したこともあり、高い動力性能を発揮しながら、燃費数値はe-BOXERと比べて0.4km/Lしか違わない。

 特にWLTCモード燃費の郊外モードは、ターボが14.3km/Lで、e-BOXERは14.2km/Lだ。0.1km/Lの違いだが、e-BOXERの数値がターボよりも劣る。つまり使われ方によっては、e-BOXERの実用燃費が、ターボに比べて悪化することも考えられる。

 e-BOXERのメカニズムもシンプルだ。モーターはコンパクトで、動力性能も最高出力が13.6馬力、最大トルクは6.6kg-mに留まる。そのために価格が安く、e-BOXERの正味価格は10万~12万円だ。マイルドハイブリッドに近い設定となる。

■スカイラインハイブリッド:WLTCモード燃費/14.4km/L

スカイラインハイブリッドは306ps/35.7kgmを発生する3.5L V6エンジンに68ps/29.6kgmのモーターを組み合わせる。同一車線でハンズオフが可能なプロパイロット2.0はハイブリッド車に標準装備される
スカイラインハイブリッドは306ps/35.7kgmを発生する3.5L V6エンジンに68ps/29.6kgmのモーターを組み合わせる。同一車線でハンズオフが可能なプロパイロット2.0はハイブリッド車に標準装備される

 スカイラインのV型6気筒3.5Lハイブリッドも、WLTCモード燃費は14.4km/Lと伸び悩む。V型6気筒3Lツインターボの数値は、最高出力が405psに達する400Rを含めて10km/Lだ。

 ハイブリッドの燃費数値はツインターボの1.4倍になる。特にWLTCモード燃費の郊外モードは、ハイブリッドが12.3km/L、ツインターボは10.6km/Lだから、ハイブリッドの数値は1.2倍だ。

 スカイラインのハイブリッドには、運転支援機能のプロパイロット2.0が装着され、ツインターボは衝突被害軽減ブレーキが歩行者も検知できない。先進装備ではハイブリッドにメリットがあるが、動力性能と燃費のバランス、価格の割安感ではツインターボの魅力が上まわる。

次ページは : ■レクサスLS500h:WLTCモード燃費/13.6km/L

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