ハイブリッドでもあまり燃費がよくないクルマ「買う基準」はどこにある?

■レクサスLS500h:WLTCモード燃費/13.6km/L

3.5L、V6エンジン(299ps/36.3kgm)と2基のモーター(180ps/30.6kgm)、10速トランスミッションを直列に配置したマルチステージハイブリッドシステムを搭載する
3.5L、V6エンジン(299ps/36.3kgm)と2基のモーター(180ps/30.6kgm)、10速トランスミッションを直列に配置したマルチステージハイブリッドシステムを搭載する

 レクサスLSもハイブリッドの燃費数値が良くない。ハイブリッドはV型6気筒3.5Lをベースにしており、2WDの数値は13.6km/Lだ。

 ノーマルエンジンはV型6気筒3.5Lにツインターボを装着して、最高出力は422馬力に達する。ハイブリッドのシステム最高出力とされる359psを大幅に上まわるが、WLTCモード燃費は10.2km/Lとさほど悪くない。ハイブリッドの燃費数値は、ツインターボの1.3倍に留まる。

 レクサスLSのWLTCモード燃費を走行モード別に見ると、市街地モードでは、ハイブリッドの数値はツインターボの1.6倍に達するが、高速道路モードは1.2倍と小さい。ハイブリッドは加減速を頻繁に行う街中では有利だが、一定の速度で走り続ける高速道路では不利だ。LSではこの傾向が特に顕著に生じた。

■アルファードハイブリッド:WLTCモード燃費/14.8km/L

ハイブリッド車は電気式4WDのE-Fourを採用。152ps/21kgmを発生する2.5L、直4エンジンにフロントモーター(143ps/27.5kgm)とリアモーター(68ps/14.2kgm)を組み合わせる
ハイブリッド車は電気式4WDのE-Fourを採用。152ps/21kgmを発生する2.5L、直4エンジンにフロントモーター(143ps/27.5kgm)とリアモーター(68ps/14.2kgm)を組み合わせる

 アルファードの2.5Lエンジンをベースにしたハイブリッドも、WLTCモード燃費が14.8km/Lになる。アルファードのハイブリッドは、後輪をモーターで駆動するE-Four専用だから、2.5Lのノーマルエンジンも4WDで比べるが、WLTCモード燃費は10.8km/Lだ。ハイブリッドの燃費数値はノーマルエンジンの1.4倍になる。

 そしてアルファードのハイブリッドは価格も高い。ハイブリッドX(8人乗り)は、ノーマルエンジンを搭載するX・4WDを76万2000円上まわる。一部の装備は充実するものの、価格が高い割には、燃費を節約できるメリットが乏しい。トヨタのハイブリッドが、全面的に買い得とは限らない。

■ハイブリッド購入の目安は、WLTCモード燃費がガソリンエンジンの1.5倍以上か否か

ハイブリッドXと2.5X(どちらも4WD)の価格差は76万2000円。この価格差を受け入れられるか?
ハイブリッドXと2.5X(どちらも4WD)の価格差は76万2000円。この価格差を受け入れられるか?

 以上のようにハイブリッドの燃費数値は、車種によって大きく異なる。グレードを選ぶ場合、ハイブリッドで燃費の良さを実感したいなら、WLTCモード燃費がノーマルエンジンの1.5倍以上になることが条件だろう。

 そしてグレードを選ぶ時は、ハイブリッドとノーマルエンジンとの価格差を燃料代の差額で取り戻すには、どの程度の距離を走れば良いかも計算しておきたい。

 例えば先に述べたアルファードハイブリッドX(8人乗り)の価格は、ノーマルエンジンを搭載するX・4WDを76万2000円上まわる。ただし税額も異なり、購入時に納める環境性能割と自動車重量税は、合計するとハイブリッドが9万3500円安い。そのために実質差額は約67万円に縮まる。

 そしてレギュラーガソリン価格が1Lあたり150円(今は160円近いが平均すれば下がる)、実用燃費がWLTCモード燃費として計算すると、1km走行あたりの燃料代はアルファードハイブリッドXが10.1円、2.5LノーマルエンジンのXは13.9円だ。1km当たり3.8円の差額だから、67万円の実質差額を取り戻すには、17~18万kmの走行を要する。

 ハイブリッドは、全般的に加速が滑らかでノイズも小さく、走りは上質だ。またエコロジーの目的は環境保護だから、ハイブリッドは損得勘定だけでは語れないが、ユーザーとしては経済性も気になる。前述のような計算を行い、コストの違いを把握したうえで、パワーユニットを選ばれるのが良いと思う。

【画像ギャラリー】2021年WLTCモード燃費ランキング TOP10はこちら!!

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