■いかにも運動性の高そうな構成要素
RX-01の心臓となるREは、新開発のマルチサイドポート・ロータリーエンジン「MPS-RE」だ。
654㏄×2ローターの13B型エンジンをベースに開発され、排気ポートをサイドハウジングに移設し、オイルパンレス構造となるドライサンプ方式のオイル潤滑を行う自然吸気式エンジンであった。
その性能は、最高出力220ps/8500rpm、最大トルク22.0kgm/6000rpmと公表。ロータリーらしい高回転型と同クラスのスポーツエンジンとも競えるスペックを備えた高性能なものが目指された。
当然、ターボレスとしたことで、よりコンパクトかつ軽量となったREの優位性をとことんまで高めるべく、できるだけエンジンを車両中央寄りに搭載するフロントミドシップレイアウトを採用し、運動性能向上を図っていた。
足回りは、RX-7同様に前後ともにダブルウィッシュボーン式サスペンションとしていたが、アルミ製ブレーキキャリパー及びブレーキローター、マグネシウム製ホイールなどによる徹底したバネ下重量の軽減が図られていた。
ボディでは、パワートレーンを低く搭載できたことで生まれたスペースを活用し、モノコックボディの中央に前後のメインフレームを繋ぐ構造の「ハイマウントバックボーンフレーム」を採用し、ボディ剛性を飛躍的に向上。
その高剛性ボディでは、衝突安全性なども考慮されるなど、市販車さながらの作りこみが施されていた。それでも各部の軽量化の効果により車両重量は、1100kgに過ぎなかった。
■コンセプトカーながら市販車なみの内装
キャビンはコンパクトなボディながら、2+2のシートレイアウトを採用。その居住スペースは、3代目RX-7同等を確保していたという。
さらに独立したラゲッジスペースには、9インチのゴルフバックを2個収めることができる実用性も身につけていた。コンセプトカーながら、キャビンのデザインはわりと現実的だった。
コックピットには、スポーティな3本スポークのステアリングに、180km/hスケールのスピードメーターや1万回転のタコメーターを含むアナログメーター、RX-7ベースと思われるフロントシートが備わる。
快適装備として、マニュアルエアコンとカセットステレオまで備わっていた。ドライバーズシートに収まると、車両中央のちょうどいい位置に5速MTのシフトレバーがある。
■経営難のマツダには2ドアスポーツカー開発は厳しかった
コンセプトカーながら、中身が市販車に近い作りであったのは、NA型ロードスターをベースに、ロードスターとRX-7のパーツを流用して製作されたこともあるが、これは走行可能な車両に仕上げることを目的としていた理由もある。
事実、モーターショーの公開後に、国内外のメディアがテストコースにてRX-01の試乗を行っている。それ以前に、ロードスターをベースとした試験車で、次期プラットフォームの研究を進めており、その成果がRX-01には盛り込まれていた。
つまり、RX-01は、次期RX-7を具現化することで、市場での反応を計った開発検討車だったと言ってもいいだろう。しかしながら、当時の親会社だったフォードは、RX-01からRX-7への昇格を認めなかった。
フォードから出向していた技術部トップは、REの可能性と魅力を充分理解していたため、RE新型車の道筋を残してくれたが、経営側からは、新型車は4ドア車とすることを絶対条件とした。
これは米国市場で事故の多いスポーツカーの保険料が高騰し、2ドアスポーツカーの売れゆきが低迷したことを危惧したものだった。そこでRX-01のための技術は、1999年に発表されたコンセプトカー「RXエボルブ」へと発展。それがRX-8となり、昇華した。
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