クルマ好きを楽しませるニュースが踊るベストカーの誌面。しかし、せっかくメーカーが面白い発表をしたのに盛り上がるのはほんの一瞬。いつの間にかそのホットなニュースも自然にフェードアウトなんてこともよくあります。
そこでベストカーではあのニュースの「その後」を追いました。諦めないでよかった、と思えること間違いなし!?
文:ベストカー編集部/写真:Shutterstock
ベストカー2017年9月10日号より再録
■トヨタS-FR計画はまだ生きている!? クルマ好きの悲願叶うか、コンパクトFR
前回、2015年の東京モーターショーコンセプトカーのなかでも仕上がり度が高く、これは市販化を前提としたコンセプトカーだな、と感じさせた最有力候補車がトヨタS-FRだった。
もちろん当時トヨタ関係者に取材をしても「あくまでもコンセプトカー。ショーでのお客様の反応を見て、今後の方向性を検討します」という、モーターショーコンセプトカーの定番回答に過ぎなかったが、実際に展示されたS-FRはいわゆる「ハリボテ」ではなく、内装もしっかりと作り込まれており、乗り込むことも可能だった。
ドアの開閉感や、マニュアルトランスミッションをガチャガチャ動かした時の感触は、ちゃんとトランスミッションにつながっている感覚だったし、クラッチペダルも踏み応え感があって、「これは実際に動くクルマだな」と感じるほどの仕上げぶりだった。
それ以前から本誌ベストカーでは「トヨタに86よりコンパクトなFRスポーツあり」の情報を得ており、誌面でもお伝えしていた。
150万円程度の価格でカジュアルにクルマの楽しさを味わえるコンパクトFRというコンセプトは、まさにS-FR。ついに具体的な動きが明らかにされた、と色めき立った。
「その後」は当然順調だと思っていたのだが、その後に飛び込んできた情報は、まさかの開発凍結説。
5ナンバーサイズのコンパクトカーというのが基本コンセプトだったのだが、グローバル展開を視野に入れる方針転換により初期のパッケージングから大きく変更が求められ、結果、コンセプトがブレた上にコスト高となり一旦棚上げされたというのが実情だ。
ところが事態はまたまた動いた。「その後」のキーはトヨタのカンパニー制により新設されたGAZOO Racing カンパニーにある。GRモデルも含めたトヨタのスポーツカー開発を一手に管轄するカンパニーで、S-FRをベースとしたコンパクトFRの開発も同カンパニーが担当する。
86の開発責任者として知られ、その後もスポーツ車両統括部部長を務めてきた多田哲哉氏は現在、同カンパニー内に再編されたGR開発部チーフエンジニアとなっており、多田氏が以前から言っている「FRスポーツ、大・中・小ラインアップの構築」に向けた体制は整った、と見ることができる。
トヨタがカンパニー制を導入した最大の狙いは「臨機応変な商品企画と開発体制」にある。組織をコンパクト化したことで、市場ニーズに即した商品企画から、実際の車両開発の時間が大幅に短縮されるという。
最新情報では、2020年のコンパクトFRの市販に向けて専用プラットフォームを開発。エンジンはTNGAコンセプトに基づいた1.5L級ターボを新開発して搭載するという。
デザインについてはモーターショーに出展されたS-FRからの発展版も視野に入れつつ、まったく異なる2BOXスタイルやピュアスポーツクーペも検討されているという。
二転三転したコンパクトFR開発だが、いよいよ本格的な開発が進行中というのが「その後」の最新情報だ。
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