スーパーチャージャーの過給の仕組み
スーパーチャージャーは、クランクシャフトからベルトなどを介してコンプレッサーを回転させ、吸気を圧縮(過給)する機械駆動式過給機です。ルーツ式とリショルム式がありますが、現在ではルーツ式が主流です。
ルーツ式は、ドライブローター(クランクシャフトに連動して回転)とドリブンローターの一対のローターが、互いに逆回転しながら、吸入、圧縮、吐出を繰り返します。一方、リショルム式は、スクリュー式とも呼ばれ、互いに噛み合った一対の螺旋状ローターで構成され、ケースとローター間の空間が徐々に縮小され、吸入空気が圧縮、吐出されます。
ターボチャージャーのほうがより合理的
ターボチャージャーは高速で高い過給圧が得られるものの、排気ガスのエネルギーが小さい低速域では過給圧が上がらず、また加速時にタービンの回転遅れによる過給遅れ(ターボラグ)があることが課題です。
一方のスーパーチャージャーは、エンジンで直接コンプレッサーを回すので、低速域から高い過給圧が得られ、過給遅れもありません。しかし、コンプレッサーを駆動するためにエンジンに余分の駆動損失が発生します。特に駆動損失が増大する高速回転領域で出力が低下することと、燃費の悪化が、最大の課題です。また、過給を高めると騒音が発生しやすいことや、コストが高いことなどもマイナス要因です。
本来廃棄される排気ガスの運動エネルギーの一部を回収して再利用するターボチャージャーに対して、スーパーチャージャーはシステム効率が劣ります。スーパーチャージャーが悪いというよりも、ターボチャージャーがより合理的なシステムであり、これが、スーパーチャージャーではなくターボチャージャーの採用が多い最大の原因でしょう。
電動スーパーチャージャーが有効かどうかは、まだ不透明
電動化時代を迎え、欧州ではターボチャージャーのコンプレッサーをモーターで回す電動スーパーチャージャーが、メルセデスベンツやアウディなどで市販化されています。ターボチャージャーの低速域の過給不足やターボラグ、またスーパーチャージャーの駆動損失を解消することが狙いです。
画期的な技術ではありますが、やはり課題はあります。電力消費が大きいため、中高速域で多用するとバッテリーが電欠状態になることから、現時点では使用が低速域に限られることです。そのため、電動スーパーチャージャー単独でなく、低速域は電動スーパーチャージャー、中高速域ではターボチャージャーと、双方を組み合わせたシステムで使うのが一般的です。将来有望な技術かどうかは、まだ不透明です。
コメント
コメントの使い方まあ確かにこの記事で書かれてるように、電動スーパーチャージャーを使うなら弱い出力でも構わないからモーターアシストで使う方が合理的ですね。
電動ターボなら良いのではないですかね。
これなら排気ガスを使うターボにも使えるし、余剰排気ガスが出る時には排気回生も出来るので。