■新型Zは、強化ウォーターポンプを採用した水冷式インタークーラーを搭載
とはいえ、ハイパワーエンジンには、それに見合う冷却システムが必要。8月に北米版が発表となった新型Zには、400ps級のツインターボエンジン、VR30DDTTが搭載されることが発表されている。
この新型Zには、外気温の高い環境や低速走行時などでも、エンジン性能を安定して維持するため、強化ウォーターポンプを採用した水冷式インタークーラーが搭載されている。
空冷式に対して、ターボのコンプレッサー下流の吸気容積を最小化することで、ダイレクトなトルクレスポンスを実現することができ、限界領域までターボエンジン性能を使うことができるとのこと。
フェアレディZも、かつてはボンネットにエアインテークを装備していたが、空力設計の進化に加えて、冷却技術も進化したことで、ボンネットのエアインテークは必要なくなったのだ。
■最新のエアインテーク事情はこうなっている
●グリルシャッター
ボンネットのエアインテークが減っている現在、ハイパワー化するエンジン冷却のための空気の取り込みは、フロントグリルからの空気導入によって賄われている。このエンジン冷却の観点からは、より多くの空気を取り込むため、フロントグリルは広く大きく開けたいところであるが、そうはいかない。
エンジン始動直後などは、なるべく速やかに、エンジンの暖機を促し、燃焼効率を上げて燃費改善につなげたいところ。そのためには、大きく開口したままグリルでは効率が悪い。「始動直後の暖機」と「走行中の冷却」、これを両立するアイテムとして、必要なときに開け閉めができる「グリルシャッター」が登場している。ラジエターシャッター、アクティブグリルシャッターと呼ぶ場合もある。
グリルシャッターは、暖気を促進する場合や、高速走行での過冷却を防ぐ場合に閉じるようにできている。また、グリルシャッターを閉じた際に、空気流を床面へと導き、リフトフォース低減や、空気抵抗低減を狙うことも可能だ。
すでに多くのクルマに搭載されており、トヨタはプリウス、カローラツーリングなど、日産はセレナe-POWERやエクストレイル、ホンダはCR-Vやアコード、スバルのレガシィアウトバック、フォレスター、XVなどにも搭載されている。
特に、始動直後から電気走行となり、暖機運転が苦手なハイブリッド車との相性が良い。
●エアカーテン
いま流行しているのが、フロントバンパーサイドの開口部にあるエアインテークだ。レーシングマシンのカナードウイング(主にダウンフォースを増やすフィン)とは違い、フロントバンパーからフロントタイヤ直前に、穴が貫通している。これは、フロントタイヤのサイドに空気を流し、タイヤ周りで発生する空気渦を整える、通称「エアカーテン」と呼ばれる考え方だ。主に、燃費改善と、高速直進性の向上のために採用している。
直近で登場した日本車だと、シビックタイプRや2代目ヴェゼル、ノート、ノートオーラのようなコンパクトカーなどでも採用されている。BMWやメルセデスといった欧州系のメーカーが2010代前半から導入し始め、その後、採用事例が増えていったと記憶している。
レクサスLCでは、後輪側にもエアカーテンと同じ機能を持たせた、ロッカーサイドグリルを設定しており、ボディ側面を抜ける気流をリヤホイールアーチ側へと抜ける導線で整流している。2枚ドアかつ、リヤフェンダーが左右に大きく張り出しているため実現したという。
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