トヨタがハイブリッドを電動化の主力に位置付ける訳

トヨタがハイブリッドを電動化の主力に位置付ける訳

 クルマと環境問題は、切っても切り離せない状況にある。クルマを使う生活をしている我々は、環境問題に対して鋭く目を向け、問題解決へ向けて動くことが大切だ。日本でも2050年までにカーボンニュートラルを実現すべく、社会全体が動き出している。

 2021年9月7日、トヨタは電池・カーボンニュートラルに関する説明会をおこない、2030年時点で考えるトヨタの電動車販売見通しを発表。電動車の販売見通しを800万台とし、うち純電気自動車(BEV)+燃料電池車(FCEV)は200万台と考えている。つまり残りの600万台はハイブリッド車(HEV)となるのだ。

 なぜトヨタは2030年段階でEVではなく、ハイブリッドを電動化の主軸に据えるのだろうか。トヨタの考える、カーボンニュートラル施策を解説していく。

文/佐々木亘、写真/TOYOTA

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■ハイブリッド車は効率的な二酸化炭素削減技術

トヨタHEVの累計販売台数は1810万台。これをBEVの電池量や二酸化炭素排出削減効果に換算すると図のような結果となる。HEVは効率的に二酸化炭素を削減できるのだ(出典:『トヨタの電池の開発・供給~カーボンニュートラル実現に向けて~』)
トヨタHEVの累計販売台数は1810万台。これをBEVの電池量や二酸化炭素排出削減効果に換算すると図のような結果となる。HEVは効率的に二酸化炭素を削減できるのだ(出典:『トヨタの電池の開発・供給~カーボンニュートラル実現に向けて~』)

 目下、最大の課題であるCO2排出量削減。近年では産業構造全体で、CO2排出をゼロにする「カーボンニュートラル」が考え方の主流だ。

 カーボンニュートラルは、クルマを使っているときだけではなく、原料の調達から始まり、製品を作る、運ぶ、使う、そしてリサイクルして廃棄するまでの間で発生するCO2を、森林などに吸収される量と、差し引きしてゼロにするという仕組みである。

 トヨタはこれまで1810万台ものハイブリッド車を販売してきた。トヨタの試算では、HEV 3台の二酸化炭素削減効果は、BEV 1台とほぼ同等だという。

 つまり、これまで販売してきたハイブリッド車は、BEV 550万台相当のCO2削減効果を持つということになる。1810万台のHEVに搭載された電池の量は、BEV 26万台分というのも驚きだ。

 1810万台のHEVは、BEV26万台ぶんの電池で、BEV 500万台分のCO2削減を実現したことになる。今、最も効率的にCO2削減ができるクルマはハイブリッド車なのかもしれない。

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