日産の…いや日本の2大スポーツカー GT-RとZ 日産が無理して2車種作り続ける狙いと事情

日産の…いや日本の2大スポーツカー GT-RとZ 日産が無理して2車種作り続ける狙いと事情

 日産が誇る2つのスポーツカー、「GT-R」と「フェアレディZ」。2021年8月には、北米で新型Zが発表され、翌月9月には、GT-Rの2022モデルが発表されるなど、活発な動きを見せている。

 スポーツカーブームが過ぎ去り、次々とスポーツカーが消えていったなかで、この2車種のスポーツカーを頑なに守ってきた日産。日産としても、この2車種を守ってきたことを誇りに思うと同時に、窮地にあるいまは、日産のブランドイメージを保ってくれるモデルがあることに、安堵を感じているであろう。なぜ、日産はここまでこの2車種を守ってこれたのか。

文:吉川賢一
写真:NISSAN、TOYOTA

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3万ドルという制約を頑なに守ってきた「フェアレディZ」

 「フェアレディZ」と「GT-R」は、共に1969年生まれ。奇しくも同い年であるこの2台だが、その育ちは全く違なる。

 Zの誕生は、日本が高度成長期の真っ只中であった1969年、きっかけは北米市場だ。当時、多くの若者たちがスポーツカーに憧れを抱いていたが、ポルシェやジャガーといったヨーロッパのスポーツモデルは価格が高く、手に入れることは非常に困難な状況であった。そんな北米市場の要望に応えるため、北米日産の初代社長、片山豊氏が先導して企画されたのが「Z」プロジェクトであった。

1969年に登場した初代Z。特に北米市場でスマッシュヒットしたことで、未だに修理をしながら乗り続ける熱狂的なファンも多い

 Zプロジェクトの目標のひとつとして掲げられたのが、「3万ドル以下で誰でも買えるスポーツカーを作ろう」だ。ライバルとなるスポーツモデルが6万ドル以上で売られていることを考えれば、あり得ない目標設定ではあったが、日産の開発陣はそれを実現してみせ、初代Z(S30型)が誕生する。

 このスポーツカーとしてはあり得ないほどの低価格が支持され、初代Zは北米を中心に大ヒット。Zはその後、5代目となる現行Z34型に至るまで、この「3万ドル以下」の縛りを極力続けてきた(北米では、Z34型の370Zのベース価格は30,090ドルだった。現在はすでに「Sold Out」となっている。日本仕向けは、商品力アップのためのアイテムを搭載した中級グレード以上のため398万円~)。その結果、Zファンはいまでも増え続けている。

 2021年8月17日に北米で発表となった新型「Z」は、3.0リッターV6ツインターボのVR30DDTTエンジンが搭載される。最高出力400ps/6400rpm、最大トルク474Nm/1600-5600rpmのスペックは、日産スカイライン400Rに搭載されているエンジンと同じスペック。気になる車両価格だが、現時点、新型Zの価格に関しては、まだノーアナウンスの状態だが、現行同様に、ベース価格は3万ドル程度に必ず抑えてくるはずだ。

米国市場向けの新型Zには、「Sport」、「Performance」の2グレードと、240台の限定生産となる「Proto Spec」が用意される
新型Zには、最高出力400ps/6400rpm、最大トルク474Nm/1600-5600rpmのスペックを誇る3.0リッターV6ツインターボのVR30DDTTエンジンを搭載

 日本向けの新型フェアレディZも、現行同様に、おそらく400万円程度からの価格となるだろう。長年のライバル、トヨタ・スープラが一足先にモデルチェンジをする姿を、指をくわえて見ていたZファンも多かったことだろうが、スープラの価格は、約500万円(2.0L直4ターボ“SZ”、3.0L直6ターボ“RZ”は約731万円)。Zは決して裏切らない。待っていて正解だ。

新型Zのライバルとなるトヨタスープラ(A90)は、2.0リッター直4ターボ“SZ”が約499万円、3.0リッター直6ターボ“RZ”は約731万円となる

「技術の日産」を誇示するためには必要だった「GT-R」

 一方のGT-Rは、レースで勝利するために誕生したスポーツカーだ。GT-Rには、勝利することで「日産の技術力の高さ」を伝え、「ブランドのイメージ」を引き上げる役目がある。

 国内レースで活躍した1969年以降の第1世代GT-R、グループAで連勝しまくった1989年以降の第2世代GT-R、そして海外へ羽ばたき300km/hの夢を見せてくれた2007年以降の第3世代GT-R。戦うレースシーンは変わっていったが、負け続けるような姿は決して見せてはならない。少なくとも、諦めない強い姿勢を見せ続ける使命を課せられたモデルだ。

 なかでも、2007年に誕生した現行R35型GT-Rは、ポルシェやフェラーリ、メルセデスAMG、BMW Mなど、世界の名だたる強豪と比べても高い戦闘力を誇るスーパースポーツカーとして、世界中に認知されるまでになった。

 そのR35GT-Rの2022モデルが、2021年9月14日に発表となった。通常モデルに加えて、特別なボディカラーや専用パーツを与えた特別仕様車「プレミアムエディションT-spec」と、「トラックエディションengineered by NISMO T-spec」が、合わせて100台限定で販売されることとなったが、予想通り応募が殺到。

 時期から考えても、今回がこのR35型GT-Rの最終モデルとなるのはほぼ間違いなく、先日発表されていた、GT-R NISMO 2022モデルと同じく、既に手に入らないクルマとなってしまっている。

GT-R 2022年モデルの通常モデル。エンジン特性やトランスミッション、サス設定、デザインは、2020モデルと原則同じ。ワンガンブルーのボディカラーも設定に残っている
プレミアムエディションT-spec。写真のボディカラーはミレニアムジェイド
専用内装色が施された、プレミアムエディションT-specのインテリア

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