■2021年10月で終わる予定だった「特例措置」がなんと2022年7月まで延長!
ところで誤解している人も非常に多いのだが、ノーヘルOKなのは認可を受けた4つの事業者が貸し出す車体で、そのうえ決められた走行エリアを走行するときだけである。
その4事業者とは、株式会社Luup、株式会社mobby ride、株式会社EXx、長谷川工業株式会社の4社のことで、東京都内で一般向けに貸し出しているのは緑色のステッカーが貼られたLuupのみ。
そして今年(2021年)4月23日にスタートした「ノーヘルOK」の特例措置は同年10月末で終了…のはずだったのだが…なんと、ひっそりと来年(2022年)7月まで延長されていたことが分かった。
4月にスタートした時には「10km/h以下なら免許不要」も議論されたため、テレビや新聞など多くのメディアが取り上げており、その際にも「特例措置による実証実験は令和3年10月末まで」と報じられていた。
筆者が延長(正式には『産業競争力強化法に基づく新事業活動計画の変更』)に気づいたのは特例電動キックボードについて調べている時で、経済産業省製造産業局生活製品課による9月2日付の発表に遭遇したことによる。
4月にスタートした時とは打って変わって報道するメディアはほぼ皆無…。ほとんど人がこの件を知らないだろう。延長の理由を同課に聞いてみたところ、
「理由は株式会社 Luup、株式会社 mobby ride、株式会社 EXx、長谷川工業株式会社の4事業者から、特例措置終了時期の変更に関する申請があったからです。事業者による違法行為などが認められれば延長を認可することは難しくなりますが、特にそのような違法行為もなかったため令和 3 年 11 月から令和 4 年 7 月においても、新たな規制の特例措置を活用することが可能となり、新事業活動を実行できるようになりました。」
という回答を得た。
「とくに問題もないし、申請があったから延長しました」ということらしい。なお、ここでいう「違法行為」とは事業者の違法行為であって、特例電動キックボード利用者の違法行為ではないことがポイント。
実際、シェア利用者の違法行為は港区や渋谷区などを中心に頻繁に行われている。
歩道や横断歩道を電動キックボードに乗ったまま走行するなどの違法行為に「ホントに免許持ってるの?」と唖然とさせられる。
※以下の動画は筆者の友人が港区西麻布の交差点付近で今年9月に撮影した。なんの迷いもなく横断歩道を特例電動キックボードに乗ったまま走行し、歩道に上がってからもそのまま乗っている。
Luupのように認可された事業者による厳正なシステムの上で貸し出されている場合でも、ルールを守らないシェア利用者が後を絶たないというのが現状なのである。
■警察は違法車体に対して取り締まりせずほとんど「注意」だけ
違法車体や違法行為に対して警察はどのような対応をしているのだろうか。まずは、日常的にほぼ罪の意識なく、違法行為へ至っている若者たちの声を紹介してみよう。
「3万円くらいで、通販で買いました。公道は走れないとは書いてありましたけど、周りを見ても誰もヘルメット被ってないし、普通にナンバーのない電動キックボードが走ってますよね。ナンバーあるほうが珍しい。警察からは何度か止められてますが、いつも注意だけ。交番の前で交通整理しているお巡りさんや白バイの前を通っても、だいたい何も言われません。キップ切られたなんて話、聞いたことないですよ~。」(東京都渋谷区20代男性)
「電動とはいえキックボードですよ。なんでナンバーがいるんですか? だってナンバーつけたら税金とか保険とかいるんでしょ? ありえないです。ホームセンターで買った時に公道走れませんって言われましたけど。別に関係ないですね。免許は何も持ってません。」(横浜市港北区10代男性)
また、そもそも販売する側に知識も法令順守の意識もまるでないことに驚く。こちらは東海地方に住む筆者の友人からの情報だ。
「電動キックボードを販売する店の店員自身がアーケード内をいつも電動キックボードで走り回ってます。あるとき、『これ、ナンバー付いてないけど?』って聞いてみたんですよ。そしたら『はい! これは公道走れないやつです』と平然と言ってました。アーケード内も時間帯によってはクルマが走れて歩道もある公道なんですが…。販売する側が公道の意味を理解していないんですから怖いですね。」
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