ノーヘルOKの『特例』電動キックボードが2022年7月まで延長! 事故・違反多発なのになぜ?

ノーヘルOKの『特例』電動キックボードが2022年7月まで延長! 事故・違反多発なのになぜ?

 今春あたりから、テレビの情報番組などで「最新流行アイテム」として「電動キックボード」が報じられているのを見た人も多いはず。都内を走行する機会がある人は、実際に道路の脇を走っている電動キックボードを見かけたこともあるかもしれない。

 この電動キックボード、2021年4月から都内の一部で実証実験が開始され、ヘルメット着用が「任意」となっていたのはご存じだろうか。あくまで実験のため今年10月までの限定的な措置だったが、それがどうやら延長されたもよう。なぜ? どうして?? 電動キックボードの法律的なポジションや現状とともに、この特例措置について取材した。

文/加藤久美子
写真/加藤博人、AdobeStock(アイキャッチ写真は@JeanLuc)

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■本来はヘルメット義務の電動キックボード

 排ガスを出さないエコで気軽な移動手段として世界的な人気となっている電動キックボードは、日本でも近年、とくに若い世代の利用が急増している。平成14年(2002年)11月に警察庁交通局から発出された文書において電動キックボードは道路運送車両法上の「原動機自転車」(原付)に該当するとされている。「電動時代の新しい乗り物」というイメージではあったが、警察ではもう20年近く前から「電動キックボードは原付」であることを明らかにしていたのである。

正直、一度は乗ってみたいなとは思う電動キックボード。運転免許を持っており、所定の法規を守りさえすれば乗ることはもちろん可能なのだが…(AdobeStock@Михаил Решетников)
正直、一度は乗ってみたいなとは思う電動キックボード。運転免許を持っており、所定の法規を守りさえすれば乗ることはもちろん可能なのだが…(AdobeStock@Михаил Решетников)

 定格出力600W以下の車体は「原付1種」として扱われることになるのでヘルメットを着用して原付以上の免許で運転することになる。もちろん速度計、ヘッドライト、テールランプ、ブレーキランプ、ウインカー、ミラーなどの保安部品とナンバープレートの表示や自賠責保険への加入、軽自動車税納付の義務もある。

 同じく601W~1000Wは「原付2種」に該当するため、原付や普通免許で乗ることはできず、小型限定普通二輪免許が必須となる。ヘルメット着用もマストだ。

 つまり日本の電動キックボードを公道で乗る際にはどのようなタイプでもヘルメットが必要ということになる。

 が、しかし、実は特例措置として「ヘルメット着用を任意」つまりノーヘルで運転が許される電動キックボードも存在する。

 これは産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」で認可された事業者が貸し出す、いわゆる特例電動キックボードのことである。

 この特例措置は「新事業活動を行おうとする事業者が、(1)その支障となる規制の特例措置を提案し、(2)安全性等の確保を条件として具体的な事業計画に即して、(3)規制の特例措置の適用を認める」制度に基づくもの。

 実際に運用されるシェア電動キックボードに当てはめると

(1)支障となる規制→ヘルメット着用や原付の2段階右折、自転車専用道路の走行禁止など

(2)安全性などの確保→時速15kmまでしか出せない仕様、アプリでの免許証確認&登録、交通量が多い道路の走行を禁止、特例での走行が可能なエリアを限定するなど

(3)特例措置の適用→ヘルメット任意、2段階右折は禁止、普通自転車専用通行帯/自転車道の走行/自転車が交通規制の対象から除かれている一方通行路の双方走行を認めるなど

 そして、特例電動キックボードの場合、必要な免許は小型特殊となる。小型特殊自動車として運用することで、時速は15km以下に抑えられるが、ヘルメット着用は任意が可能になったというわけだ。

 電動キックボードを普及させ利用を拡大するために、まずは認可を受けた事業者によるシェア利用から安全にかかわるルールを強化し、規制緩和の実証実験を行うという流れである。なお、本件における事業所管省庁は経済産業省、規制所管官庁は国家公安委員会及び国土交通省となる。

次ページは : ■2021年10月で終わる予定だった「特例措置」がなんと2022年7月まで延長!

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