■ディーラーで受けた記憶に残るエピソード
このように、悲しいエピソードには枚挙に暇がないのだが、当然ながらそれだけではない。記憶に残るエピソードも紹介する。
◎待ちに待った納車当日、思わぬ行き違いで・・・
21年間、所有している愛車を購入した時の話です。ディーラーで購入手続きを終え、いざ納車当日・・・。待てど暮らせどクルマがやってこない。「? 」と思ってディーラーに電話すると、行き違いで私が取りに行く話になっていました。
とにかく急いでクルマに乗ってディーラーへ。自宅から遠方のディーラーだったので、セールスの方が申し訳なく思ったらしく、5千円を分ガソリン代に・・・と、封筒に入れて渡してくれました。
その5千円札は封筒に入ったまま、21年経った現在も使うことなく大切に保管してあります。
◎熱いセールストークを展開?
当初、あるスポーツカーの一番廉価なグレードの購入を予定していました。
セールスの方から説明を受けているうちに、上位モデルの方がいいかなと聞いてみたところ、一番廉価なグレードベストだと熱弁され、当初の予定通りのグレードとなりました。
気になったオプションのLSDも「それを付けたらクルマの良さが失われてしまう」と言われ、つけたオプションは最低限のものだけ。
普通なら高いグレードや、オプションを色々と勧めるものだと思っていましたが、販売しているスポーツカーへの愛を感じるセールスでした。
そのおかげかどうかは分かりませんが、5年で10万キロを超え、大きなトラブルもなく走っています。
◎寒い中、飲み物がこぼれたフロアマットを洗ってくれた
寒い時期にクルマが不具合が見つかり、ディーラーへ入庫。幸い、大事にいたらずその日のうちに乗って帰れることに。
これから帰宅・・・という時にフロアマットに飲み物をこぼしてしまい途方に暮れていたところ、セールスの方が「私が洗いますよ!」と寒いなか、必死にフロアマットをその場で洗濯。
お礼をしようとしても「サービスで!」といって受け取ってくれませんでした。後日、せめてものお礼に・・・と思い、クルマの保険を契約することにしました。
◎快く試乗を勧めてくれたセールスからクルマを買うことに
試乗車を置いていることが珍しいモデルの試乗がしてみたいと、友人とあるディーラーを訪れたところ対応してくださったセールスの方が「せっかくなので最上級グレードに試乗してみてください!」といってくれたことに感激しました。
試乗後、私たちが乗ってきたクルマに興味を示してくれたセールスの方と話したところ、かなりのクルマ好きと判明。
同行した友人が気になっていたモデルのことを話したら「こちらもぜひ試乗してください」とおっしゃるので、こちらも試乗。このことがきっかけとなり、友人は試乗を勧めてくれたセールスの方からクルマを購入していました。
■幼少期のトラウマは一生もの? カタログ入手悲喜こもごもエピソード
今回の取材を通じて「運転免許を取得する前に手に入れた(入れることができなかった)カタログ」についてもさまざまなエピソードがあることも判明した。
このカタログがボロボロになるまで読み込み、大人になって手に入れることができたという人もいるようだ。
反対に、ディーラーで冷たい対応を取られてトラウマとなり「2度とこのメーカーのクルマは買わない」と決心したという悲しいエピソードも・・・。
◎誰もが知る国産スーパースポーツの発売日・・・
いまでも現役モデルとして街中でも見かける誰もが知る国産スーパースポーツの発売日。
「学ラン&ママチャリ」でディーラーに向かい「カタログをください」とお願いしたところ、セールスの方が快くくれたことはいまでも忘れられないです。
当時はインターネットなんてないですし、ボディーカラーやオプションなど、カタログを読むことで初めて知る情報がたくさんありましたから。鮮やかなイエローのボディーカラーを見つけたときは感激しました。
後日、プラモデルを買い、イエローにペイントしたのも懐かし思い出です。
◎「免許がない人にカタログをあげる必要はない」といわれ・・・
中学生の時、ある国産車ディーラーに「○○○○○○のカタログをください」とアポなしでいきました。
すると中年のセールスが「免許がない人にカタログをあげる必要はない」と無下にされ、ものすごくショックでしたね・・・。
家までの帰り道、悔しさと悲しさでいっぱいだったことを覚えています。30年経っても覚えているんだから、よほど悔しかったんでしょうね。結局、このメーカーのクルマはどんなに高性能でカッコ良くてもほしいと思わなくなりました。
◎小学生の時、父親とディーラーに行った時・・・
小学生の時、父親が用事でディーラーに行くというのでついていきました。普段はセダンとか実用車しか置いていないディーラーなのに、この時はたまたま2ドアクーペが置いてあったんです。
ドアが2枚のクルマということに感動(笑)。運転席にも座らせてもらいました。セールスの方にエンジンルームを開けてもらいましたが、よく分からないけどスゴイクルマなんだということは想像がつきました。
カタログもいただき、帰宅するまで父親にずっと「大きくなったら買うね!」と何度も何度も話したそうです。夢かない、数年前に手に入れることができました。もちろん中古車ですけれどね。
カタログ入手にまつわるエピソードが印象的なものが多い。
◎言葉にしなくても態度で分かる・・・
最近はあるのか分かりませんが、昔は「Aカタログ」と「Bカタログ」のような区分けがあったように思います。
高校3年生の時「いずれは・・・」という思いもあってとあるディーラーへ。スポーツクーペのカタログをくれませんかとお願いしたところ、受付の人がくれたのはBカタログの方でした。
確かに買う人でないことは一目瞭然ではありますが・・・自分がお客さんだと思われていないような気がして、このスポーツクーペへの熱は急速に冷めてしまったことをよく覚えています。
◎学生の時「社会人になったらローンを組んででも買います!」と宣言して・・・
当時から日本車でも上から数えた方が早い高級車に惚れ込んでしまい、たまたま地元のディーラーに展示してあることを知って観に行きました。
まだ大学生だったので「社会人になったらローンを組んででも買います!」とその場で宣言をして、名刺とカタログをもらって帰宅しました。
それからしばらくして、認定中古車ならなんとかローンを組めば買えそうだという目処が立ち、思い切って購入。名刺の方に連絡したところまだ在籍していることを知って、会いに行きました。
いつの間にか出世してマネージャーに。次はこのセールスさんから新車を購入するのが目標です。
ユーザーからすれば何気なくもらっているカタログ。実はメーカーから支給されているものではないのだ。
無造作に配りまくっていたら経費の無駄遣い・・・になりかねない。しかし、1冊数百円のカタログが、1人のクルマ好きの人生を大きく変える力を秘めていることは間違いない。
「ネットで見ればいいじゃん」という声もあるだろうが、美しい写真と心躍るコピー、カタログ特有の匂い。紙のカタログでしか味わえない世界はこれからも不変だと思う。
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