■円安の影響も受けてまさに火に油状態
こうした原油高に加えて、円安も響いている。原油の決済はドルで行われるので、 原油価格が上昇すれば、取引量は変わらなくても、原油価格の上昇に伴い、ドルを調達する量も増え必然的に円安になってしまう。
そして最近は、欧米でのインフレ懸念が強まっていて、10月12日の東京外国為替市場では、一時、1ドル=113円台半ばまで値下がりし、およそ2年10か月ぶりの円安水準を更新。円安になれば、原油の仕入れ値が上昇するというわけで、これも悪循環につながっている。
さらに日本国内の事情に目を向けると、石油元売りの統合・再編が進み、今ではENEOSと出光興産の上位2社だけでシェアの8割を占めている。こうなると無理してまで価格競争をする理由はなくなってしまう。
また、ガソリンスタンド数も1994年度の6万421件をピークに減少を続け、2020年度は2万9005件と半減してしまっている。
それでもハイブリッド車など燃費性能のいいクルマが普及し、軽自動車も売れているので、ガソリンスタンドの経営は厳しく、かつてのような薄利多売という方針は通じなくなってしまった。
そうしたこともあり、原油価格が下がっても、それが小売価格に反映されるまでタイムラグも大きくなってきているのはご存じの通り。
■今後ガソリン価格はどうなるのか
これらの理由で高騰しているガソリン価格。今後はどうなっていくのだろうか。
年内に、レギュラー1リットルが、170円台にまで上昇するという説もあるが、少なくとも年末までは原油価格の高騰、高止まりが続くとの見方が多いようだ。
その先のことまで予想するのは難しいが、ガソリン価格が下がってくるためには、下記の三つの条件が必要になる。
【1】原油価格が下がる
産油国が増産に舵を切れば、原油価格が下がってくるはず。先物取引に関しては、投資家の判断次第となるだろうが、この7年ぶりの高値という現状は、ある種のバブルのようなものでもある。
そう遠くないうちにバブルがはじけ、先物価格の下落がはじまると予想しているのだが、これは楽観的かつ希望的観測なのだろうか?
【2】円高になる
今の円安の原因は、欧米でのインフレへの懸念が強まっていることが背景にあるといわれているが、このインフレへの懸念も原油の先物価格の高値がきっかけになっている部分もあるので、期待は薄い……。
アメリカの長期金利が下がるというニュースでも伝われば、ドルを売る動きも出てくるかも!?
【3】新型コロナ情勢
新型コロナの感染拡大が本格的に収束し、経済活動が回復していけば、原油も増産され徐々にガソリン価格も下がるはず。反対に変異株でまたパンデミックが広がるようなことになれば、石油の需要が減って、価格の下落につながるかもしれない(これは一番勘弁してもらいたいシナリオだが)。
いずれにせよ、石油価格の高騰はガソリンだけでなく、すべての物価上昇に直結し、とくに冬場は光熱費への影響が大なので、速く値下がりに転じて欲しいと願っている。
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