空前のヒットとなった「510型系」や、「U12型系」など、歴史にその名を残してきた、日産「ブルーバード」。なかでも、昭和に育ったクルマ好きの心を掴んで離さないのが、伝説の名グレード「SSS」だろう。その響きを聞くだけでも心躍るような、トキメキを感じたグレードであった。
「SSS」はどういったモデルなのか、なぜ名グレードといわれるようになったのか、振り返ってみよう。
文:吉川賢一
写真:NISSAN
海外ラリーの活躍により、「SSS」の名が世界的に広がった
日産「ブルーバード」は、日本を代表するファミリーカーとして、1959年から長きにわたって国内販売されていた、3ボックスタイプのモデルだ。「SSS」は2代目ブルーバード(410系)の時代に始まり、1964年にSUツインキャブの1200SSが、1965年5月にはSUツインキャブの1600SSSが登場している。
SSSの名を爆発的に広げたのは、1967年から1972年に販売された「3代目ブルーバード(510型系)」だ。歴代のダットサンと同様に、国際ラリーの過酷な舞台で鍛えられ、そのポテンシャルの高さを実証してみせたモデルである。
エンジンは、1.3リットル直列4気筒のL13型を積んだ量産仕様と、上級モデルとして1.6リットル直列4気筒のL16型を積んだ「SSS(スーパー・スポーツ・セダン)」仕様の2グレード構成で、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット型、リアはセミトレーリングアーム式という、日産初の四輪独立懸架を採用していた。
この510型SSSは、 1970年に行われた「東アフリカ・サファリラリー」にて、1600SSSが総合優勝とクラス優勝、そしてチーム優勝までも獲得、国産車として初の3 冠完全制覇を達成した。この勝利が大々的に報じられ、510型SSSは、「ラリーの日産」を大きく印象付けることに成功。また4代目の発表の直前には、1.8L直列4気筒のL18型エンジンを搭載した、1800SSSも発売となり、話題となった。
4代目、5代目は短命に
1971年に登場した4代目ブルーバードU(P610型)もまた、曲線を多く使ったスタイリッシュなデザインで、人気が出た一台であった。1600SSSに加えて1800SSSや、電子制御燃料噴射装置を搭載した1800SSS-E、さらには豪華装備を装着したSSS-Lも登場。しかし、偉大なる510系SSSの大ヒットに比べると、人気度はいまひとつであったそうだ。
1976年7月には、5代目ブルーバード(810系)へとフルモデルチェンジ。オイルショックや年々厳しくなる排ガス規制に対応するため、1977年のマイチェンで1800SSS-Eの5速MTはエンジンを換装し、昭和53年排ガス規制をどうにか満たした。だが販売不振を受け、1979年11月には販売終了、910型へと移行した。
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