■アメリカの映画はアクションもおふざけもケタ違い!
映画の冒頭、レイ・スティーブンスが歌う有名なテーマソングとともに登場するのが今回、殿堂入りを果たした黒のカウンタック。
この車に乗った美女が「SPEED LIMIT 55mph(およそ88km/h)」と書かれた交通標識に赤のスプレーで×印をつけて走り去ると、そのあとをパトカーがサイレンを鳴らしながら追跡するというエピソードで幕を開けるのだが、このふたつの車のカーチェイスが何といってもかっこいい。
カウンタックが、アッという間にパトカーと差をつけ走り去ってしまうからだ。このカウンタックを筆頭に、キャノンボール・レースにはクセ者ドライバーとそのキャラに合わせた車が登場する。
主人公のバート・レイノルズ扮するJJチームが選んだのは、スピードを出しても交通法規を守らなくても許されるだろう救急車。こちらはダッジトレーズマンの救急車仕様になっている。
金持ちの道楽息子役のロジャー・ムーアが乗るのは、当然というかやっぱりというかアストンマーティンDB5。これはショーン・コネリーが『ゴールドフィンガー』(64)で運転していた車と同じ。
助手席にセクシーな美女を座らせ、シャンパンを飲みつつ、ライバルが近づくとスモークを焚いたりして、まさにボンドカーのノリ。音楽もお馴染みの『007』のテーマ曲という念の入りようだ。
ロジャー・ムーア時代のボンド映画ではアストンマーティンは一度も使われたことがないのに、このセルフパロディ映画では大盤振る舞いというのが面白い。
デイビスJr.と、いつも酔っぱらっている赤ら顔のマーティンのコンビは神父に化けて真っ赤なファラ―リ308GTSをドライブ。神父とフェラーリというミスマッチは、あちこちで騒動を引き起こす。
そしてドライバーのジャッキーと、メカニックのマイケル・ホイの日本人設定チームが駆るのはスバル1600スウィングバック4WD(輸出名)ことレオーネだ。当時北米では珍しい乗用車の4WDで、ドア部分に「4WD」と大きくペイントされている。
日本であることを意識してなのか、車内にはコンピュータやビデオデッキが搭載されていて、さしずめハイテクカーのつもり。そのビデオデッキで、疲れ果てたジャッキーがポルノ映画の『グリーンドア』を観るジョークもあるが、彼のファン的に見どころは後半に見せるアクション。
バイク暴走族のヘルズエンジェルらしき一団と、ジャッキーにしてはささやかなアクションを見せている。その暴走族のリーダーを演じているのは、ニューシネマの傑作と言われる『イージーライダー』(69)で、さすらいのバイカーを演じていたピーター・フォンダというのも、ちょっとしたサプライズだ。
また、何でも札びらで解決しようとするアラブの王族チームの車は、お金持ちらしくロールス・ロイスのシルバーシャドウ。セクシー作戦で警官を惑わす女性チームはオープニングのランボルギーニ・カウンタックを走らせる。
そのほかにもシボレー・マリブ、ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム等が登場している。
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