日産の方針に翻弄されてしまった名門
生粋のハイパフォーマンスセダンとして、その実力は確かなフーガだが、販売は振るわず。日産はそんなフーガに、エクステリアデザインを大幅刷新した2015年のマイナーチェンジで、INFINITI(インフィニティ)エンブレムを与えた。
前年にデビューしたV37型スカイラインと合わせてのことだった。トヨタの高級車ブランド「レクサス」が日本で開業となったのが2005年のこと。フーガ初代モデル発売の翌年だ。初代フーガ発売以降、下降線をたどり続ける販売台数のなかで、インフィニティバッヂによってフーガにレクサスのようなステータス性をもたせ、それによる販売台数の向上を図ったのだろう。
しかし、インフィニティに憧れを持っていた日本人は、ごく一部の日産ファンのみ。2019年12月の改良により、再び日産エンブレムへと戻された。この「迷走」ぶりは、ハイパフォーマンスな高級スポーツセダンであるフーガにとっては、かえってステータスに傷をつける出来事となってしまった。
現在12年目に突入している、現行の2代目フーガ。2度のビッグマイナーチェンジを受けてはいるが、古さは否めず、フーガのインフィニティ版「Q70」は、すでに2019年末に販売終了となっている。インフィニティも、QX55そしてQX60と、立て続けにクロスオーバーやSUVのモデル更新をしているが、セダンモデルの更新の話は一向に聞こえてこない。
「ラグジュアリーEVセダン」を目指してはどうか
セダンのマーケットは、今後さらに縮小していくかもしれないが、筆者は、消滅してしまうことはないと考えている。欧州プレミアムブランドや、その他のラグジュアリーメーカーも、車種こそ減らしているが、しっかりと商品力のあるセダンをラインアップし続けており、日本でいえば、センチュリーや、レクサスLSなど、贅沢なつくりのセダンは一定の需要がある。
だが、やはりフーガの存続は厳しい。いまの時代に、「大排気量のマルチシリンダーエンジンを積んだ後輪駆動セダン」が、一般ユーザーに需要があるとは思えない。次期型フーガが今のままの形式でモデルチェンジする可能性は、ないに等しい。
ここはひとつ、フーガには、「フーガ」ブランドは終わりにして、「アリア」をベースにした「ラグジュアリーEVセダン」として生まれ変わる道を目指してほしい。名前も「プレジデント」を復活させ、ハイエンドのアッパーセダンとして、フラッグシップに掲げる。
これとて大ヒットは見込めないが、「フーガ」そして名門「シーマ」の魂を、EVの時代となるであろう次世代に受け継ぐことができれば、日産FRセダンの最後の花道を飾ることくらいはできるかもしれない。
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