今やレヴォーグとカローラツーリングのみに……。国産高級ワゴンはなぜ絶滅したままなのか?

今やワゴンはレヴォーグとカローラツーリングのみに……。国産高級ワゴンはなぜ絶滅したままなのか?

 かつて、日本でもアッパーミドル以上のステーションワゴンが大いに売れていた時代があった。トヨタクラウンステーションワゴンにマークIIクオリスおよびブリット、日産ステージアにスバルレガシィツーリングワゴン、三菱レグナムなどなど……である。だが、そんなアッパーミドル以上の国産ステーションワゴンも今やマツダ6ステーションワゴンが残るのみで、ほかはすべて討ち死にした。

 直近における現実的な選択肢は、CセグとDセグの中間くらいに位置するスバルレヴォーグと、完全Cセグメントのトヨタ カローラツーリングしかない。レクサスに至ってはステーションワゴンの設定そのものがない。……これはいったいなぜなのか?

文/伊達軍曹
写真/ベストカー編集部、トヨタ、日産、マツダ、スバル、三菱、メルセデスベンツ、BMW、アウディ、FavCars

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■ドイツ車のステーションワゴンはいまだ健在なのに……

 「かつての日本人はステーションワゴンがけっこう好きだったが、その後はワゴンよりもスペース効率が高いミニバンやSUVが好きになっちゃって、室内がちょい狭めなステーションワゴンのことなど見向きもしなくなったから」

1993年にデビューしたスバル2代目レガシィツーリングワゴン。特に96年以降のビッグマイチェンモデルはステーションワゴンブームの火付け役となった初代を凌ぐ大ヒットとなった

 よく言われるこの仮説は、確かに部分的にはそのとおりなのだろう。だが、この仮説も、「国産アッパーミドルステーションワゴンの(ほぼ)絶滅」という現象を、完全には説明できていない。

 なぜならば、同じステーションワゴンでも「ドイツ物」は相変わらず設定され続けており、なおかつ堅調に売れているからだ。

現行型のBMW3シリーズツーリング。500psのM3ツーリングも発売間近か!?
現行型のアウディA4アバント。ハイパフォーマンスの450psを誇るアウディRS4アバントもラインナップする

 DセグメントではメルセデスベンツのCとBMWの3、そしてアウディA4にステーションワゴンが設定されており、Eセグメントでも同様だ。すなわち、Eクラスステーションワゴンと5シリーズツーリング、そしてA6アバントである。

 そしてそれらは「設定されている」だけではなく「けっこう売れている製品」でもある。

■日本市場は世界的に見てもステーションワゴンの比率が高い

 例えばメルセデスベンツ Cクラスは2020年に計6689台の新規登録があったが、そのうち、インポーターに確認したところによれば、約3割がステーションワゴンだったという。つまり、メルセデスベンツ Cクラスステーションワゴンは20年に「日本で2300台くらい売れた」ということだ。なかなかの数字である。

21年6月に発表された新型のCクラスステーションワゴン。Cクラスの日本における20年の新規登録は約3割がステーションワゴンだった

 しかも同インポーターによれば、「日本市場は世界的に見てもステーションワゴン比率が高い」とのこと。他国では、CクラスもEクラスもセダン比率がもっと圧倒的に高いというのだ。

 つまり、「かつての日本人はステーションワゴンがけっこう好きだったが、その後は(中略)ステーションワゴンのことなど見向きもしなくなったから」という仮説は必ずしも正しくない、ということである。ステーションワゴンを好む人は、まだまだ一定数以上はいるのだ。

 もちろん、ドイツ車を好むユーザーと国産車を嗜好するユーザーとでは傾向が異なる可能性はある(というか、たぶん異なるのだろう)。だが、とはいえ同じ人間であり、同じ日本在住者である。その気質やニーズが、ドイツ車を好むか国産車を好むかで極端なまでに違っている可能性は低い。

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