SUVが大ブームとなっている昨今であるが、いまから30年前、1990年代の国産車のブームは、ステーションワゴンにあった。トヨタ、日産、スバル、マツダ、三菱など、ほとんどの自動車メーカーがステーションワゴンを投入しており、今では考えられないほど、人気があった。
現在販売されている国産のステーションワゴンは、ごくわずか。かつて栄光を極めたモデルたちは、ほとんどがモデル廃止となってしまっている。今回は、90年代に活躍した、懐かしの国産ステーションワゴンたちを振り返ってみよう。
文:吉川賢一
写真:SUBARU、TOYOTA、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】90年代に一世を風靡したステーションワゴンたち
スバルレガシィツーリングワゴン(2代目・1993~1998年)
国内のステーションワゴンブームに火をつけたのは、1989年に登場した初代レガシィツーリングワゴン。そして、そのブームをさらに加速させたのが、1993年に登場した2代目レガシィツーリングワゴンだ。
あくまで5ナンバーの小型車枠にこだわり、プラットフォームこそ初代の改良型ではあったが、GTとGT B-specには、インプレッサ用に開発されていた排気量2.0リッターBOXERのEJ20をツインターボ化し、250psというクラス最強のエンジンにパワーアップ。
さらにはマイナーチェンジで最大出力280psまで性能向上した。また、トップグレードにはお決まりのビルシュタインダンパーを奢るなど、贅沢な足回りだった。
レガシィツーリングワゴンは、このクルマの初代のヒットをみて登場したライバル車をことごとく返り討ちにしていった、まさに伝説のクルマだ。2代目レガシィツーリングワゴンは、累計で34万台が販売され、歴代最量販モデルにもなっている。
トヨタカルディナ(初代・1992~1997年)
コロナ/カリーナをベースに、ステーションワゴン風に作ったのが、このカルディナだ。イタリア語で「中心的な、主要な」という意味の「カルディナル」をもとに名付けられたこのクルマは、初代レガシィツーリングワゴンの大ヒットをうけて開発されたもので、2代目レガシィ登場の前に発売した。
駆動方式はFFとフルタイム4WD、エンジンは横置きの直列4気筒、1.8リッター(125ps)、2.0リッター(140ps、(4WDは135PS)のほか、2.0リッターディーゼル(73ps)も設定していたが、翌年登場の2代目レガシィが250psにもなるハイパワーエンジンを搭載しており、パワー競争では太刀打ちできていなかった。
1997年には2代目カルディナへモデルチェンジし、2.0リッター直4ツインカムターボ(260ps)のGT-Tが登場。トヨタ最強の快速ツーリングワゴンとして人気はあったが、大きな成果をあげることはできなかった。カルディナは、後出しジャンケンでも勝てなかった、トヨタ車としては珍しいクルマだ。
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