本場アメリカのイベントを現地取材してわかった空冷VWの魔力


本場の空冷VWドラッグレースに興奮

本場、VWのドラッグレースを観戦。フロントが浮き上がってスタートするシーンは圧巻!

 10月31日(日)、ロサンゼルス郊外の「アーウィンデール ドラッグ ストリップ」というドラッグレース専用コースで行われた「HOT VWs Drag Day」を見に行ってきた。
すでに当日の主役であるドラッグスター達の爆音が響き渡り、数百台もの空冷VWが集合していました。前段の「HOT VWs」の渡辺編集長によると、「ロサンゼルス近郊には、こうしたドラッグレース専用コースが3ヵ所もある」というのだから羨ましい限りです。

 ちなみに、「HOT VWs」は、長年に亘ってこのシリーズ戦をサポートしているそうで、運営は、空冷VWイベント界の名門中の名門である「BUG IN」事務局が取り仕切っていました。日本でも、この本場の空冷VWイベント「BUG IN」の興奮を再現しようと立ち上がった有志らにより、1981年から1985年までの計5回、三重県の鈴鹿サーキットで「BUG IN Japan」が開催されています。

当日、約50台のドラッグスターが集結! 最速マシンは5秒台

 当日はドラッグレースのシリーズ最終戦ということで、入念にチューニングされた約50台のドラッグスターが爆音を轟かせながら1/8マイル(約200メートル)の走行タイムを競っていました。フルチューンした水平対向4気筒エンジンが爆音をあげると、リアタイヤが白煙を上げ、フロントをリフトアップさせながらロケットのようにぶっ飛んでいきます。

 最速マシンで5秒台と、可愛らしいビートルの姿からは想像できないその大迫力は、まさに感動ものです。ちなみに、このレースではありませんが、過去には名門の空冷ドラッグレースで日本人が全米チャンピオンに輝いた実績もあります。

 オイルの焼ける匂いとバーンナウト(タイヤを空転させてグリップ力を高める作業)で焼けたゴムの匂いが漂うドラッグコースの横では、眩しい太陽が降り注ぐ大きな青い空の下、レースに参加しない空冷VWオーナーたちによるカーショーが行われていました。

 そこではまさにアメリカの多様性を反映したような、多種多彩な空冷VWが所狭しと並び、コロナ禍で会えなかった旧友たちが共に再会を喜びあい、始終、和やかに愛車自慢を繰り広げていました。

オリジナルからキャル、スリーパー、ラストスタイル、水冷ヤングタイマーなど多彩なVWが集合していた
タイプIIもアメリカでのVWカルチャーを語るうえで欠かせない空冷VWだ。会場にはさまざまなスタイルのタイプIIバスやキャンパーのウエストファリアでにぎわっていた
タイプIカルマン(右)とタイプ3カルマン。いずれもオリジナルのグッドコンディション。手前のタイプIカルマンのオーナーは、ハーネスを引き直した完璧な状態が自慢だという
日本で言うバモスホンダのようなイルティス(タイプ181)も、カリフォルニアで乗りたいお洒落なオープンモデルだ

■楽しみ方はオーナーの数だけある。それがVW

 今回のカーショーでも多種多様な空冷VWを見ることができましたが、その楽しみ方(スタイル)は、まさに「オーナーの数だけある」といっても過言ではありません。

 例えば、空冷VWの代表的なカスタムスタイルである「Cal Look(キャルルック)」は、日本でも、これに関する専門の本が出版されるほど奥深いものなので簡単には説明できませんが、ここ本場のカリフォルニアでも、いまだに進化し続けているというのだから驚きです。

乾燥したカリフォルニアではサビの進行が遅く、いい感じのヤレ感がとても自然体で絵になる。またあえてサビを再現したラストスタイルも楽しみ方のひとつだ
ディスプレイも完璧なキャルルックのスリーパーは、狭いリアエンジンスペースにどデカいターボタービンを搭載。いったい何馬力出てるのだろうか
ワイルドな出で立ちのバハスタイルも本場カリフォルニアでは定番のスタイル。アメリカンV8マッスルカーにも負けない存在感を放っている
これは珍しいタイプIのストレッチリムジン。エンジンはツインキャブ化しているという。こんなリムジンでパーティーにいくのも楽しそう
ビートルをベースにしたバギー仕様もキャルルックのひとつ。LAの海岸線を走りたくなるようなボディカラーのオープンだ

 ショーカーをよく見ると、極めてノーマルで程度の良い個体から、リアの狭いエンジンルームに、どデカいターボをぶち込んだスリーパー(外観は普通だがエンジンチューンなどがされている)やホットロッドを模したペイントが施されたビートルなど、ついつい引き寄せられてしまいます。

メッシュのホイールリング以外はほぼノーマルの6V時代のビートル。淡いウグイス色がカリフォルニアの青い空に似合う
狭いエンジンスペースに押し込まれたターボタービン。さすがにエアコンは入らなかったようだ
ホットロッドのような派手なデコレーションとCal Lookお約束のBRMホイールが決まっているビートルカブリオレ

 VWはよく「キャンバスのようなクルマだ」と言われます。オーナーは自分のVWをキャンバスに見立て、この世に2つとない絵を描くように自分のスタイルを作り上げる。つまり、オーナーの数だけ、空冷VWスタイルがあると言うことを、本場の空冷VWシーンを見てあらためて思い出しました。

乗りっぱなし感の自然なラストスタイルが決まっているタイプI。クラシックなブラックのカリフォルニアナンバープレートもマニア垂涎のアイテムだ
カリフォルニアと言えば、海岸線を走るサーフボードを載せたピックアップが絵になるが、アメリアではゴルフIベースのカッコいいキャディを多く見かける
ジェッタ顔ゴルフIIもヤングタイマーとしてイベントに参加。もう30年も経つのだから貴重なVWだ

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