純ガソリンエンジン最高の証であり最後の砦 「直6」復活の理由と行方

純ガソリンエンジン最高の証であり最後の砦 「直6」復活の理由と行方

 かつて、高級車やスポーツカーに搭載され、大いに支持された、直列6気筒エンジン。しかし、2000年頃を境に搭載されなくなり、一時は絶滅寸前にも。ところが、最近になってメルセデスベンSクラスやスープラで復活、その今後が期待されています。

 なぜ直6エンジンが復活してきたのか、また、今後の直6エンジンの進展についても解説していきます。

文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA、NISSAN、Mercedes-Benz、BMW、LAND ROVER

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低振動でスムーズな回転が魅力

 直列6気筒エンジンは、国内では、1960年代に初めてセドリック/グロリアに搭載されて以降、トヨタと日産が競うように開発してきました。トヨタでは、トヨタ2000GTやクラウン、マークII、ソアラ、日産ではスカイライン、フェアレディZなど、名車と呼ばれるほとんどの高級車やスポーツカーは、直6エンジンを搭載していました。

 海外でも、メルセデスベンツやBMWが、かつては日本同様に直6エンジンをラインナップの中核に位置付けており、特に直6エンジンのリーダー的な存在であるBMWのエンジンは、そのなめらかな回転から「シルキーシックス」と称されています。

 当時、直6エンジンが人気を博した主な理由は、次の3つです。

・6気筒の爆発が互いの振動を打ち消す理想的な機構なので、スムーズに回転して低振動
・同じ排気量なら、4気筒よりも1気筒あたりの排気量が小さくなるため、ピストンや動弁系部品が小さく軽量化でき、その分高回転まで回せて高出力化が可能
・V型6気筒エンジンと比べると、シリンダーヘッドやカムシャフトなど主要な部品数が半分になるので低コスト

1967年発売の国産初のピュアスポーツカー、トヨタ2000GT。当時最強の2.0L直列6気筒DOHCエンジンを搭載

衝突安全強化とFF化の流れの中で絶滅危機に

 そんな直6エンジンに陰りが見え始めたのは2000年を迎える頃でした。メルセデスベンツが1997年に名機「M104」エンジンの生産を止めて順次V6エンジンへ切り替え始め、日本でも、トヨタと日産がそれぞれ2004年と2007年に直6エンジンの生産を終了。一時期は、BMWを除くすべてのメーカーから、直6エンジンが消滅してしまいました。

 直6エンジンがV6エンジンにとって代わった理由、それは直6エンジンの全長が「長い」ことにあります。

 エンジン全長が長いため、基本的に縦置き搭載となる直6エンジンの場合、衝突安全性の観点において、十分なクラッシャブルゾーンが取れず、1990年代に始まった前面(正面)衝突性能では、エンジン全長が短いV6エンジンのほうが有利でした。また、1980年代以降、スペースユーテリティに優れたFF駆動が主流となったことで、エンジンが短く横置き搭載が容易なV6エンジンが台頭、直6エンジンは次第に使われなくなっていったのです。

2001年にデビューした11代目日産スカイライン。伝統的に直6エンジンを搭載してきたスカイラインが初めてV6エンジンを搭載

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