ああ…絶好調だったヴェルファイアの凋落!! なぜアルファードばかりが売れる?

■生みの親に仕組まれた兄弟同士の争い

トヨタ ヴェルファイア。トヨタの販売体制再編とコスト削減で、売れ行きで水を開けられたヴェルファイアは廃止されるとみられている
トヨタ ヴェルファイア。トヨタの販売体制再編とコスト削減で、売れ行きで水を開けられたヴェルファイアは廃止されるとみられている

 アルファードとヴェルファイアの販売推移を見ると、車両の機能には無関係なフロントマスクのデザイン変更により、優劣が逆転した。そこに全店が全車を扱う販売体制への移行も加わり、販売格差がさらに拡大して、ヴェルファイアの売れ行きはアルファードの4%に至った。

 クルマは高度なメカニズムの集合体で、高額商品でもあるのに、その売れ行きは気分的なデザインによって左右される。全店が全車を扱う販売体制も含めて、アルファードとヴェルファイアの売れ行きは、自動車ビジネスの難しさを物語る。

 特に今の国内販売では、半数近くを軽自動車が占めるから、小型/普通車市場ではトヨタのシェアが50%を超えた。

 Lサイズの上級ミニバンは、以前からアルファードとヴェルファイアの独壇場で、オデッセイやエルグランドは販売を低迷させていた。実質的に上級ミニバンの選択肢は、アルファードとヴェルファイアに限られるから、身内同士の一騎打ちになった。

 そしてアルファードとヴェルファイアの販売合戦は、トヨタによって仕組まれたものだった。その目的は車種の開発と販売コストのリストラだ。

 今後は各メーカーとも電気自動車を含めた環境技術、自動運転や安全技術に多額の投資を求められる。そうなると車両の開発や販売に関する費用はなるべく安く抑えたい。そこで国内では、全店が全車を扱う販売体制に移行した。

 全店が全車を販売すれば、系列化のために用意されたアルファードとヴェルファイアのような姉妹車を含めて、車種の数を減らせるからだ。仮にヴェルファイアの販売が好調であれば、アルファードが廃止されていた。

 トヨタにとってアルファードとヴェルファイアは、両方ともに子供のような存在だ。その姉妹車同士を戦わせて、生き残る車種を決める。このような残酷な仕打ちを強いるほど、今の自動車業界は、厳しい時代を迎えている。

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