■タブーを破ったニュービートルが、バス復活への期待を高める
2001年1月、初代「ビートル」とともに数々の伝説を生み出した「Type2」のリバイバルを予感させるコンセプトモデル「マイクロバスコンセプト」が、北米のデトロイトモーターショーで初披露され、同年秋の第35回東京モーターショーにもやってきた。
そのVWブースの傍らには、「ニュービートル」ブームの真っただ中にあって、「ゴルフR32」の3.2リッター、V6エンジン+4モーション(四輪駆動)を採用したホットモデルの「ニュービートルRSi(国内50台限定販売)」があって、その夢の共演に多くの来場者から喝采の拍手と熱い眼差しを浴びていた。
日本でも「ニュービートル」が復活したのだから、これの復活に対する期待は当然のことながら大きく、「このままの姿で良いから直ぐに乗りたい」という声も多く聞かれた。こうした世界的な反響に気を良くしたVWは、翌年、ドイツ国内の労働組合との間で、このバスの生産に関する調印を締結。「いよいよ生産か」と、期待されたものの、残念ながら生産されるまでに至っていない。
その後もバスをモチーフにしたコンセプトモデルが何台も登場しているが、ブランドアイコンとしてのアドバルーンとして登場しただけで、「夢」が実行されることは決してなかった。
あまりに時間が経ちすぎてしまったことに加え、「ニュービートル」の後継車である「ザ・ビートル」も静かにフェードアウトしていく状況にあっては、もう誰もバスの復活を期待しなくなってしまったのだ。
■VWマイクロバス復活までの歴史年表
●2001年:デトロイショー、マイクロバスコンセプト発表。1998年に世紀の復活を遂げたニュービートルに続く、VWレトロシリーズの第二弾と期待されたデザインコンセプト
●2011年:ジュネーブショーでBulliコンセプト発表。MQBモジュールの多様性を訴求するために造られた。40kWhのリチウムイオン電池を積み、航続距離300km
●2016年:ラスベガスCESにてBUDD-eコンセプト。Type2へのオマージュよりも、今後のVWのEV戦略の土台となるMEB(EV専用)モジュールの初披露として用いられた
●2017年:デトロイトショーにてID.BUZZコンセプト発表。MEBモジュールを用いたEV、IDシリーズの一角になることを髣髴とさせる3列のMPVとして再びType2のイメージにつなげてデビュー
●2018年:ハノーバー商用車ショーにてID.BUZZ Cargoコンセプト発表。Type2のデリバリーバンにあたるモデルを披露
●2019年:オレゴン大学の陸上部のコーチと元ランナーが1964年にランニングシューズの会社を始めた時に配達車両として使っていたタイプ2バンをモチーフにID.BUZZ CARGOベースのNike Blue Ribbon Sports vanとして復活させNikeがキャンペーンに使用
●2021年:ミュンヘンにてID.BUZZ・ADコンセプト発表。ID発表時、すでに自動運転を視野にした提案がされていたが、より具体的なプロトタイプカーとして登場
●2021年11月:ID.5をオンラインで発表したが合わせてID.BUZZを2022年に発売すると予告
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