VW版アルファード? いよいよ2022年に登場のID.BUZZはどんなクルマ?

■今度こそ、本当に発売されるのか?

カモフラージュが施されているID.BUZZ。しかしタイプ2の面影がまったくない……
カモフラージュが施されているID.BUZZ。しかしタイプ2の面影がまったくない……

 去る11月1日、ドイツVW本社は、新しいEVモデルの「ID.5」のオンライン発表会を行ったが、その後半、司会者とのやり取りのなかで、VWブランドの販売/マーケティング担当役員クラウス・ツェルマー氏が、「2022にもID.BUZZを販売する」と、コメントしたことから、ネット上で「今度こそ本当か!?」と盛り上がりを見せている。11月17日時点で、ドイツVW本社のニュースルームには具体的な情報はアップされていない。

 VW本社のIR(投資家向けの)サイトを見てみると、10月28日付けで、「VWブランドのEVは、発売から9ヵ月間で計16万7800台(対前年同期比:169%)を販売し、中国でも発売直後の第二四半期に6000台を納車。

 第三四半期には2万3000台に達した」と伝えている。これが多いか少ないかは別にして、世界的にEVの覇権争いに火花を散らすVWとしては、「ID.BUZZ」をフックに、EVメーカーとしてのさらなる認知向上、拡販の双方を狙いたいはずだ。

■新型VWバスは、どんなクルマなのか!?

公表されている2017年時点でのID.BUZZのボディサイズは全長4942×全幅1976×全高1963mm、ホイールベースは3300mm。かなり大柄なボディとなる
公表されている2017年時点でのID.BUZZのボディサイズは全長4942×全幅1976×全高1963mm、ホイールベースは3300mm。かなり大柄なボディとなる
大人気ミニバンのアルファードを超えることができるか。アルファードのボディサイズは全長4945×全幅1850×全高1950mm、ホイールベースは3000mm
大人気ミニバンのアルファードを超えることができるか。アルファードのボディサイズは全長4945×全幅1850×全高1950mm、ホイールベースは3000mm

 では、実際に登場する「ID.BUZZ」はどんなクルマなのだろうか。最新かつ「ID」シリーズのトップモデルに位置する「ID.5(2022年発売予定)」と「ID.4」、そして、現時点で知り得る限りの「ID.BUZZ」に関する情報などをもとに、そのサイズ感、仕様などを推測してみよう。

 参考までに、国内月間販売台数では常にTOP10入りし、近々モデルチェンジが予想されている、日本でもっとも売れているミニバン、現行型のトヨタ・アルファード・ハイブリッド X(4WD:8人乗り)とも比較してみた。

 「ID.BUZZ」の全長および全高は、アルファードとほぼ同じサイズだが、全幅が約130mm、ホイールベースに至っては300mmも長い。そんなボディサイズでありながら、アルファードより若干小回りが利きそうだ。

 その理由はVWの新しいEVモジュールの「MEB」にある。この「MEB」をベースにする「ID」シリーズは、基本的に後輪駆動方式を採用するが、「ID.BUZZ」では4WDが提案されている。

 VWによれば、「MEB」のメリットとして、前後のオーバーハングを短くできるとしている。基本骨格はスチールモノコックになる。「ID.5(2022年発売予定)」の詳細はないが、「ID.4」の77kWバッテリーは約500kgでなので、車両総重量は2トンを切れば優秀かと思われる。

VWは2021年9月、自律走行装置を開発する企業ArgoAIと提携して開発したID.Buzz ADを公開
VWは2021年9月、自律走行装置を開発する企業ArgoAIと提携して開発したID.Buzz ADを公開

 気になる走りについては、「ID.5 GTX」がヒントになりそうだ。「ID.BUZZ」ではインホイールモーターを想定していたと記憶しているが、実際には、費用対効果の観点から、「ID.5 GTX」と同じ、フロント+リアの2モーター、4WDシステムを流用する可能性が高いだろう。

 装着タイヤについては、先日発売された「ID.4」でも21インチ仕様があるので、コンセプトモデル同様、22インチも可能性としてはゼロではないかもしれない。

 そして、肝心な走りに関しては、同社の技術開発担当役員のトーマス・ウルブリッヒ氏が、「新開発のエレクトロニック・ビークル・ダイナミクス・マネージャーは、重要な制御システムとネットワーク化して、さらに四輪制御機能とも統合したことで、まったく新しい次元のスポーティなドライビングプレジャー、トラクション、ドライビングセーフティを提供する」というのだから期待できるのではないか。

 その他にも「ID.BUZZ」は、VWのEV戦略の威信にかけて、現行の内燃エンジンを搭載する最新モデル同様、最先端の先進安全装備や技術、コネクテッド機能や快適装備などを満載して登場するに違いない。

 VWのことだから、間違いなく、良いクルマに仕上がっていると思うが、問題は、かつての熱狂が今残っているのか?ということだろう。世界中の、多くの日本人が「ニュービートル」に熱狂した2000年の頭からすでに20年。時代や志向は大きく変わって、大人気だったミニバンもSUVへとその座を奪われてしまった。

 はたして「ID.BUZZ」に、いまだに光り輝き続けるオリジナルの「Type2」がごとくの神通力があるのか甚だ疑問ではある。そこをどう伝えるか、どう印象付けるかで、VWブランドの価値があらためて見直されるはずだ。うわべだけで「Type2」ストーリーを語れば、すべてが脆く崩れ去るような気がしてならない。

大型ミニバンならではの豪華で広いID.BUZZのインテリア。床のスライドレールからもシートアレンジが多彩であることが分かる。アレンジによっては、もはやリビングである
大型ミニバンならではの豪華で広いID.BUZZのインテリア。床のスライドレールからもシートアレンジが多彩であることが分かる。アレンジによっては、もはやリビングである
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