■痺れるほどの渋さでありながら超ホット!
エアロは80年代風に仕上げ、エアダム風フロントバンパーにウレタン風リアスポイラーを組み合わせ、ホイールはワタナベの8スポークで仕上げる。当時でさえ泣かせる演出がされていて、今見ると渋すぎるほどのかっこよさである。
この渋さは現在なら80年代風カスタムとして理解できるが、2003年当時は80年代が終わってからまだ十数年。当時は渋いと言うよりも「ダサい」と取られてもおかしくない時代であるが、そこに勇気を持って出したトヨタテクノクラフトの気合いにはあっぱれである。
TRDのスポーツサスペンションは減衰力4段階調整式で、ブレーキパッド&リアシューもTRDのスポーツモデルをセット。専用タワーバーに、専用スタビライザーまで装着された。
マフラーも純正マフラーメーカーに製作を依頼した専用品で、そのサウンドはスポーティなものだった。室内もTRDスポーツシート、TRSスポーツステアリングホイールでまとめ、ちゃんとしたスポーツカーになっていたのだ。
価格は227.0万円~291.8万円。車重は1320kg。10/15モード燃料消費率は11.9km/L。燃料はプレミアムガソリンで、定員は5名。当時の物価を考えても、かなりバリューなプライスだった。
「新車のスポーツモデルがない」なんて声を聞いたであろう、自動車メーカー系カスタマイズブランドが、FRセダンをベースにエンジンを換え、スーパーチャージャーを装着してパワーアップさせ、スポーツカーとして発売してしまったのがコンフォートGT-Zなのだ。
こんなホットモデルを当時関東のトヨペット店で売っていたというのが最大の衝撃。架装車両のため登録は持ち込み扱いとなるが、1年または2万kmまでトヨタテクノクラフト架装部分の保証が付き、ディーラーのサービスが受けられるクルマだったことは当時としては画期的である。
2003年といえばすでに21世紀である。21世紀にトヨタテクノクラフトの起こしたひとつの奇跡とも思えるコンプリートカーがコンフォートGT-Zだったのである。
勝手な推測になるが、こんなホットなコンプリートカーをディーラーで買え、安心して乗れるシステムは現在のマークX GRMNやVITZ GRMNなど、GAZOO Racingの特別仕様車の流れと同じ。その礎となったのがコンフォートGT-Zではないだろうか。
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