2025年発売? 業界地図を変えてしまう電気自動車アップルカー 自動車メーカーの脅威となるのか?

2025年発売? 業界地図を変えてしまう電気自動車アップルカー 自動車メーカーの脅威となるのか?

 iPhoneやiPadのように驚異的な売れ行きの伸びを毎年記録し続ける、これまでになかった全く新しい領域の画期的なプロダクトを世に送り出し続けてきたIT界の巨人、アップル。

 そのアップルによって現在鋭意開発が進められ、世界初の完全自律走行車になると噂されているアップルカーは、自動車業界に劇的な変化をもたらすだけでなく、iPhoneのようにそのデビュー前とデビュー後で世界を全く別物に変えてしまうモンスタープロダクトとなり得るのだろうか。

 はたして、アップルカーはいつ発売されるのか? 自動車メーカーの脅威となるのか、アップルカーの今を追った。

文/柳川 洋、写真/SONY、Adobe Stock(トップ写真=leonovo@Adobe Stock)

【画像ギャラリー】完全自律走行車の時代はやってくるのか? アップルカーのウワサとソニーのコンセプトカー『VISION-S』(9枚)画像ギャラリー

■ステアリングもペダルもない完全自律走行が可能なハンドフリーのアップルカーのデビューまであと3年ほど!?

ブルームバーグが伝えるところによると、アップルカーはこれまでにない全く新しいインテリアとエクステリアのクルマとして開発されており、2025年の発表を目指しているとのことだ(jpgon@Adobe Stock)
ブルームバーグが伝えるところによると、アップルカーはこれまでにない全く新しいインテリアとエクステリアのクルマとして開発されており、2025年の発表を目指しているとのことだ(jpgon@Adobe Stock)

 プロジェクトスタート当初から開発の方向性にも紆余曲折があり、また技術的なハードルの高さからまだまだ完成しないと思われていたアップルカー。

 だが、「現在完全自律走行技術開発が急激に進捗しており、早ければ2025年にもアップルカーがデビューする可能性がある」との驚きのスクープがアメリカの金融情報サービス会社ブルームバーグによって2021年11月19日に伝えられた。

 それによると、ハンズフリーでハンドルとペダルのない、人工知能に基づく完全自律走行が可能なこれまでにない全く新しいインテリアとエクステリアのクルマの開発が進んでおり、2025年の発表を目指しているとのこと。

 だが実際に公道を走るのが見られるようになるのはその数年後になるかもしれないとも伝えられている。

 先行するテスラなどでも完全自律走行システム開発にはまだ数年かかると言われており、2014年ごろから開発を始めたと言われる後発のアップルが開発できるのは早くても5年から7年はかかると言われていた。

 あっという間にアップルが先行するライバルを抜き去るかもしれないというニュースはポジティブな驚きを持って受け止められた。

 アップルカーの開発は、アップルウォッチのソフトウェア開発責任者で、全くの新規プロダクトだったアップルウォッチをゼロから作りだして世に送り出したケヴィン・リンチ氏を中心にして現在進められている。

 リンチ氏は自動車や自律走行の開発経験はないものの、彼の下には最先端の人工知能領域をはじめとしたさまざまな分野で能力の高いエンジニアが集まっているという。

 リンチ氏の前任は、テスラでモデル3の開発で重要な役割を果たし、2018年にアップルに移籍したダグ・フィールド氏だった。だがフィールド氏は2021年9月にフォードのチーフ・アドバンスト・テクノロジーオフィサーに転出し、リンチ氏が新しいプロジェクトリーダーに就任。

アップルカーの開発は、アップルウォッチをゼロから作り、世に送り出したケヴィン・リンチ氏を中心にして進められている(Denys Prykhodov@Adobe Stock)
アップルカーの開発は、アップルウォッチをゼロから作り、世に送り出したケヴィン・リンチ氏を中心にして進められている(Denys Prykhodov@Adobe Stock)

 そのわずか数ヶ月後、あらゆる場所で完全な自律走行が可能になるアップルカーの開発が急激に進行し、完全自律走行車専用のプロセッサーのコア部分の開発も既に大半が完了したとも報じられた。

 ハードウェアとソフトウェアの開発が進捗する一方で、ビジネスモデル、すなわち「どのような形でアップルカーで儲けるのか」という戦略の検討も進んでいる。

 これまでの自動車産業のように消費者一人ひとりがアップルカーを購入する形になるのか、完全自動運転のタクシーのようにシェアリング型のサービスとしてアップルカーを提供する形になるのかは未定だが、これまでのアップルの事業展開を考えるとおそらく前者のアプローチになるのではないかとブルームバーグは伝えている。

 ただしこのビジネスモデルについては見方が分かれている。

 同時期に発表されてこれまた大きな話題を呼んだ米国金融サービス会社モルガン・スタンレーの株式アナリスト2人によるアップルカーについてのレポートでは、「個人で購入するものではなく、サブスクリプションか公共交通機関のようなシェアドサービスとして提供されるだろう」との見方が示された。

 また、いわゆるレベル5といわれる完全自律走行車の全体としての普及は「技術面、倫理・法律・規制面での多くの問題により非常にゆっくりしたものとなる」と予想され、2025年度に販売される完全自律走行車は10万台程度で、それも主に米国外で売られるとしている。

 加えて、アップルカーの登場は、「(これまでもてはやされてきた)EV市場にとっての究極の弱気材料」となり、フィスカーやルーシッド、GMなどライバル社の株価に大きな影響を与えるとも指摘している。

 ただし「これまでアップルが新たに参入してきた市場は、アップルの参入によりそれまでに予想されていた成長のペースを大幅に上回る成長が実現してきた歴史がある」としていて、AV(完全自律走行車)市場の成長がアップルカーの登場によってより加速していくとの見方も示した。

 「アップルカーの製品化により、ブランドロイヤリティの高い10億人もの顧客を抱えるアップルのプラットフォームの魅力に投資家があらためて気づかせられるきっかけになり、アップルの売上(2021年9月期で年間約40兆円強)と時価総額(11月末で約300兆円弱)が2倍になる明確な道筋が描かれる」

 と強気のコメントも目を引いた。

次ページは : ■誰が(どこが)アップルカーを作るのか?

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