ホンダの先進安全装備「ホンダ センシング」が進化する。目指すは2030年までに先進国で売る全モデルへの展開である。
次世代ホンダADASの本命と目される『ホンダセンシング360』の性能とは?
※本稿は2021年10月のものです
文/鈴木直也 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年11月26日号
■進化し続ける先進運転支援システム
クルマの進化はスマホみたいなIT機器に比べるとゆっくりしたものだが、唯一の例外なのがADAS(先進運転支援システム)だ。
ADASは事故を未然に防ぐ安全機能のみならず、将来の自動運転実用化へ向けた架け橋。自動車メーカーにとって電動化とならぶ重要な技術テーマとして、激しい開発競争が行われている。
この分野ではホンダの動きが活発だ。
今年3月には自動運転レベル3を世界で初めて実現した『ホンダセンシングエリート』を発表。自動車専用道限定で速度50km/hまでという制約はあるが、制御を完全にクルマ側に委ねる自動運転レベル3の市販に踏み切った。
実験レベルで「凄いすごい!」と騒いでるばかりで一向に市販車が出てこない自動運転ベンチャーに比べ、自動車メーカーの底力を見せつける快挙といっていい。
続いて、10月13日にホンダは新しいADASアーキテクチャとして『ホンダセンシング360』を発表。これは『ホンダセンシングエリート』の研究成果を広く普及させるために生まれた、次世代ホンダADASの本命。『エリート』が突破口を開き、主力部隊の『360』で市場を席巻しようという作戦だ。
ハードウェア面での特徴は、その名称のとおりクルマの周囲360度にわたってセンサーの目を張りめぐらせたこと。
フロントにワイドビューカメラと長距離ミリ波レーダー、ボディの四隅には中距離ミリ波レーダーを搭載。センサー機能をワイドかつ高精度化することで、事故回避性能を高めている。
新たに追加された機能としては、(1)クルマのみならず歩行者を含めた交差点出会いがしらの自動ブレーキ、(2)前方交差車両の接近警報、(3)車線変更時に後方から接近する車両との衝突回避、(4)車線変更時の操舵支援(ハンズオフには非対応)、(5)ACC使用時のカーブにおける速度自動調整、という5項目。
『ホンダセンシングエリート』で培った技術を応用して、今後さらに新機能を追加する予定もあるという。
これでホンダセンシングはベース仕様、『ホンダセンシング360』、『ホンダセンシングエリート』の3つが揃った。
それぞれ、低価格車や新興国向けのエントリー版、先進国全モデル適用を目指す主力、最新技術にチャレンジするフラッグシップという役割が明確になったといえる。
ホンダセンシング360の採用は2022年にまず中国で発売するモデルから。
先進国で販売する全モデルへの展開はその後、2030年までにと言うから、期待したいね。
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