まだ大きくなるのか!? クルマのアイコン、フロントグリル巨大化の是非を問う!!

■自動車としては原点回帰、そしてプレゼンス向上

 この3代目アウディA6以降、「グリルの大型化」はアウディにかぎらず多くのメーカーで進行していったわけだが、フロントグリルのサイズを大きくするそもそもの目的はふたつ、すなわち「プレゼンス(存在感)を高める」ということと、「原点回帰(大きなグリルが構造上リアルに必要とされていた時代のデザインへの回帰)」であったことを、まずは整理しておきたい。

 とはいえその後、フロントグリルの巨大化は主に「プレゼンスの向上」という目的においてトレンドとなっていった。

 この「プレゼンスの向上」を目的とするグリル巨大化の波はトヨタ アル/ヴェルどころか三菱 eKクロスなどの軽自動車にまで及んだわけだが、プレゼンス向上と同時に「原点回帰」という意味も含んで大型化されたのが、日本では2020年10月に発売されたG22型BMW 4シリーズクーペではないだろうか。

■プレゼンス向上と原点回帰の動きは今後どうなるのか

 このように、主には高速道路上や中国市場におけるプレゼンス(オラオラ感)の向上を目的としながらも、古典的レーシングデザインへの回帰という要素も一部含みながら、ひたすらにデカくなってきた自動車のフロントグリルは今後、どうなっていくのか?

 なんとも断言できない話ではあるのだが、ある程度の先まで巨大化が進んだ段階で(つまりレクサスLXをも上回る「グリル比率70%くらい」の超絶モデルが登場した段階で)さすがに多くの自動車ユーザーはそのアホらしさに気づくのではないか。

 そして現在オラオラ系のプレゼンスを世界で一番欲しているであろう中国市場ユーザーたちの趣向も若干洗練化され、グリルサイズのトレンドは、ある程度小さめな方向へと転じていく。というのが筆者の読みだ。

 もちろん、これには「EVの普及」も関係している。内燃機関ほどにはシビアに冷却する必要がないEVにも、さしあたって巨大グリルは装着されるだろう。だがテスラのような「グリルレス」が、今後のEVの主流になっていく可能性のほうが高いだろう。

テスラモデル3はモデルS、X、Yと合わせてグリルレスデザインを推しているが、モデル3という名前について、イーロン・マスク的には「モデルE」にしたかったのだとも言われている
テスラモデル3はモデルS、X、Yと合わせてグリルレスデザインを推しているが、モデル3という名前について、イーロン・マスク的には「モデルE」にしたかったのだとも言われている

 あとは「中国市場におけるアウディの売れ方次第」だろうか。

 アウディは他メーカーに先がけて巨大化一辺倒のグリル政策をやめており、「どのクラスのモデルも顔つきは基本的に同じ」という、最近のメルセデスベンツでおなじみの金太郎飴的デザインもやめていると筆者は考えている。

 このデザイン政策が中国という巨大オラオラ市場でも受け入れられたなら、各メーカーが右に倣えで、一気にグリルサイズは「やや小さい方向」へと進むだろう。

 だが、もしもアウディが中国市場でハズすことになったら……グリルの巨大化はとめどなく続き、最終的には「グリル比率80%対85%の戦い! 」のような、フロントグリルのハルマゲドンが起きてしまうのかもしれない。

 基本的には端正なデザインをクルマには求めたい筆者としては、そうならないことを祈っている。


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