■まとめ:「正解」は自分で奪い取るしかない
脱炭素への道をどう選ぶかは国、地域ごとの環境や自然条件によって変わってくるし、もっと言えば人生観に関わってくる問題でもある。
クルマの脱炭素も同じことで、再生エネルギーの割合や構成が確定しないことには何が正しいのか読み切ることは難しく、現時点では「予想できない」というのが実際のところだろう。
鈴木氏、国沢氏ともアプローチは異なるが「いろんな手を打っておいたほうがいい」という点では共通している。「保険」の意味合いもあれば、今後の技術革新によって内燃機関の新しい価値が広がる可能性もゼロではないし、EVが当たり前に走るシーンなど想像がつかない途上国だっていくつもあるからだ。
正解がわからないなら、自分が信じた道を正解にするしかない。世界の自動車メーカーは今、そんな戦いをしている。
【番外コラム】トヨタ、スバル、マツダがカーボンニュートラル燃料でスーパー耐久レースに参戦
2021年11月、内燃機関の未来をかけてマツダは次世代バイオディーゼル、トヨタは水素燃焼エンジンでスーパー耐久レースに参戦。来季はスバルも合成燃料で参戦し、技術を磨く。
【おまけ】カーボンニュートラルへの道 用語辞典
●温室効果ガス(GHG)…赤外線を吸収し、再放出する大気を構成する気体の総称。京都議定書(COP3)では二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素など7種類が指定されている。
●気候変動に関する政府間パネル(IPCC)…各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与える政府間組織。1988年に世界気象機関と国連環境計画により設立。
●温室効果ガス排出量取引…先進国が脱炭素につながる技術支援や資金援助を行った場合、途上国で削減したCO2が先進国の削減量として計上される仕組み。
●パリ協定(PA)…2015年12月12日、COP21にて採択された2020年以降すべての国が参加する法的拘束力のある国際条約。発効条件の55カ国以上、世界の温室効果ガスの55%以上をカバーする排出国の批准により、2016年11月に発効。
●二酸化炭素回収貯留(CCS)…発電所や化学工場などから排出されたCO2を集め、地中深くに貯留・圧入する技術。貯留したCO2を古い油田に注入し、残った原油を圧力で押し出して再びCO2を貯留するCCUSもある。
●アンモニア火力発電…アンモニアは燃やしてもCO2を排出しないカーボンフリー物質で、石炭火力に混ぜて燃やすことでCO2の排出を抑えられる。2040年代に100%の専焼を実現する目標となっている。
●カーボンリサイクル…CO2を再利用するとともに大気中への排出を抑制する技術。化学品、バイオ燃料などのほか、コンクリート製品や構造物にCO2を吸収させる技術もある。
●水素還元製鉄…石炭の代わりに水素を使って鉄を作る方法。鉄鋼は日本の温室効果ガス排出量の約14.6%を占めている(2019年度)だけに重要な技術となる。
●合成燃料(e-fuel)…CO2に水素を合成して作られる燃料で「人工的な原油」とも呼ばれる。CO2を資源として利用するカーボンリサイクルとなるため脱炭素燃料とみなされる。F1で2023年の導入を検討。
●次世代バイオディーゼル燃料…微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)や使用ずみ食用油を原料としたディーゼル燃料。従来のとうもろこしやサトウキビなどの食料と競合しないバイオ燃料で持続可能性に優れている。
【画像ギャラリー】COP26を振り返りつつ鈴木直也&国沢光宏が侃々諤々!! クルマの脱炭素戦略への道(10枚)画像ギャラリー
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