■完全開通はいつになるのだろうか
一方下り線はというと、大和トンネルの拡幅は完成したが、サグ(くぼ地)はトンネルよりわずかに東寄りにあるため、現状、渋滞緩和効果はほとんどゼロである。
本来、付加車線は現在よりも約3キロ手前から始まる計画で、工事も進んでいるのだが、途中にある2か所の高架部の拡幅がまったく未着手で、設計すら決まっていない。その背後にどんな問題があるのか、「設計について地権者等と協議中」としか公表されていないが、とにかく完成のメドすら立っていない。
が、最近の下り線に関しては、大和トンネル付近を先頭にした渋滞よりも、横浜町田ICを先頭にした合流渋滞のほうが、深刻になっている。
原因は、2020年3月に開通した首都高横浜北西線だ。この横浜北西線、2020年度の平日平均交通量は3万3450台だったが、周知が進むにつれて交通量は増えており、コロナ明け後は顕著に増加。最近は1日あたり4万台を超えていると推測される(予定交通量は4万6900台/日)。
横浜市中心部と東名とは、これまで保土ヶ谷バイパスを使うしかなかったが、そこに横浜北西線が加わったことで、保土ヶ谷バイパスの負担は軽くなり、交通量が微減して渋滞も緩和された。
その一方で、ルートが2本になったことで、東名下り線に合流できる交通量は増加した。下り線の場合、横浜青葉JCTで横浜北西線が合流して交通量が増えたところに、その先の横浜町田ICで保土ヶ谷バイパスから大量のクルマが合流してくるため、この合流を先頭に恒常的な渋滞が発生するようになったのだ。いいことしかないように思われるネットワークの充実だが、それによって新たな渋滞も生まれる。
これを緩和するためには、やはり東名の横浜町田IC-海老名JCT間を、全線片側4車線に拡幅するしかない。国交省は、大和トンネル付近のデコボコ付加車線では足りなかったことを認め、全面拡幅を決断していただきたい。なにしろ東名は、日本の物流の脊梁。海老名JCTより東寄りには、新東名の計画もないのだから。
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