これは素晴らしい! マツダが認知症起因事故を防ぐ可能性持つ安全技術を発表!!

これは素晴らしい! マツダが認知症起因事故を防ぐ可能性持つ安全技術を発表!!

 マツダがこのほど、認知症に起因する事故を予防できる可能性を持つ、新しい安全技術の開発を発表した。このシステムは運転中にドライバーの視線をずっと追いかけているもので、同時に前方のカメラでドライバーがどこを見ているかを判定する。

 普通のドライバーは、道交法遵守&運転経験に基づいて信号を見たり、歩行者を見たりするのだが、認知症を発症すると頭脳ではなく、本能的に興味のある場所を見ているそうで、データを取ってみると頭脳が認識している時の視線と本能的に見ている時の視線は明らかに違うとのことだ。実際にこのシステムを体験した国沢光宏氏が解説する。

文/国沢光宏写真/マツダ、平野 学、AdobeStock

【画像ギャラリー】認知機能低下を判定できる機能搭載か? マツダ「CO-PILOT CONCEPT」先進技術体験を写真でチェック!!(12枚)画像ギャラリー

■厄介なのは認知能力低下による事故は既存システムでは対応不可なこと

 直近の5年でADAS(自動ブレーキなど事故を未然に防ぐシステム)が急速に普及し、板金業者すら経営難になるほどクルマの安全性は飛躍的に向上している。そんななか、現在のシステムで対応できないのが、ドライバーの認知能力低下などによる人身事故。高齢者でなくても、信号の見落としなど、うっかりミスは発生してます。

クルマ運転中の体調急変での重大事故が増加中。しかも一般道で多く発生しており歩行者を巻き込む重大事故になりやすい(<a href=pathdoc@AdobeStock)
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クルマ運転中の体調急変での重大事故が増加中。しかも一般道で多く発生しており歩行者を巻き込む重大事故になりやすい(pathdoc@AdobeStock)

 ドライバーがよそ見をしていたり、急性の疾病などにより人事不省に陥ったりした時にカバーするシステムはすでに実用化の段階にある。2019年発売のスカイラインでドライバーの目線を追いかける赤外線カメラを採用。

 前を見ていないと判定されたらコーションを出す。レヴォーグのアイサイトXや、MIRAIのアドバンスドライブも目線カメラを使う。

 居眠りや低血糖症、心臓や脳の急性疾患などによりドライバーが前を見なくなったようなケースだったら、全身硬直状態&アクセル全開になってもハザードを出し、ゆっくり停止できるようになると思う。

 もう2~3年するとさまざまなメーカーから緊急時自動停止機能付きのクルマが出てくるに違いない。安全システム、一歩進みます。

 しかし! 認知能力の低下による事故は従来のシステムだと役に立たない。なぜか? キチンと前を向いて運転しているからだ。認知症の対応策で難しいのは少しずつ症状の悪化が進むこと。普通に運転していたのに、突如判断応力を失ってしまう。高速道路の逆走とか赤信号や一時停止の完全無視などは、いわゆる「まだらボケ」の典型。

認知能力の低下による事故は従来のシステムだと役に立たない。この問題を解決できる支援システムはあるのだろうか?(<a href=hikari_stock@AdobeStock)" class="wp-image-362618" width="600px" height="400px"/>
認知能力の低下による事故は従来のシステムだと役に立たない。この問題を解決できる支援システムはあるのだろうか?(hikari_stock@AdobeStock)

 完全な認知症であればキーを隠しておいたり、エンジンスタート時にパスワードを入れたりするようにするなど対応策あるものの、まだらボケの場合、普段は普通だ。

 なのに突然、信号や一時停止標識を認識できなくなってしまう。「まだらボケ」が原因と思われる事故、毎日のように発生している。この手の事故を防ぐ技術は今まで存在しなかった。

■マツダが『認知症ドライバー判定装置』を開発した!?

 そんななか、マツダが「決定的かもしれませんね!」という技術を発表してきたから驚く。『認知症ドライバー判定装置』と言い換えてもよいくらい素晴らしい。このシステムが実用化されたら、認知症のボーダーラインにあるドライバーによる事故を「ほぼ」防止できるんじゃなかろうか。以下、じっくり紹介したいと思う。

 必要なハードは前方を監視するカメラと、ドライバーの目線を追いかけるカメラだ。ドライバーの目線を追いかけ、それを前方の映像と合致させると、何を見ているのか相当ハッキリわかるそうな。

 マツダの技術プレゼン映像を見たら、信号や標識を見ているのか、道路を見ているのか、歩行者を見ているのか、といったことが判定可能。

視覚刺激の強い場所を計算して2次元マップとして表現した「サリエンシーマップ」。この情報と目線カメラの情報を組合せて異常事態を検知する
視覚刺激の強い場所を計算して2次元マップとして表現した「サリエンシーマップ」。この情報と目線カメラの情報を組合せて異常事態を検知する

 健常なドライバーの目線を追いかけると、道路だけでなく信号や標識、バックミラー、視野の真ん中以外の歩行者などを見ている。安全性の確保や道交法の遵守を優先して認識している、と言ってもよかろう。

 実際、自分がハンドル握っている時をイメージしていただきたい。いろいろな場所に注意を払っているんじゃなかろうか。

 認知能力落ちているドライバーはどうだろう? マツダによれば「道路や本能として注意を引く場所を見ていることに加え、視線の移動も少なくなります」。イメージとしては痛飲した後、歩いてる時か? 道路を見ながら歩いているけれど、それ以外、あまり気にしない。運転も同じ。本能で道路を走っている。それ以外、注意を払わない。

■2025年の実用化を目指して「CO-PILOT II」を開発中

 マツダは病院や脳の専門家などとさまざまな治験を行っているという。結果、相当な確率で認知証を判定できそうだという段階になっているらしい。これをクルマに実装したらどうなるか? まず、認知証の判定が可能。すでにマツダ車には運転技量の判定装置を搭載している。走り出すと自動チェックを始め、最後に判定を出す。

 同じようなシステムで認知証の判定が可能。家人のスマホに情報提供することもできるだろうし、症状進んだらエンジン始動しないようにすることだって可能。もちろん、走行中に赤信号を無視しようとしたら、すでに実用化段階に近づいている「穏やかなブレーキで止める」機能を使えばいい。私は決定的な判定システムだと考える。

マツダ「CO-PILOT CONCEPT」を搭載した試験車両。現行市販モデルのセンサーにプラスして12個のカメラ、1個の車内カメラ、高精度地図/ロケーターECUを追加した仕様となっている
マツダ「CO-PILOT CONCEPT」を搭載した試験車両。現行市販モデルのセンサーにプラスして12個のカメラ、1個の車内カメラ、高精度地図/ロケーターECUを追加した仕様となっている

 気になるのは「いつ頃実用化するか?」という点。マツダに聞いてみたら認知証判定システムの導入時期は未定ながら、2025年を目指して開発中のコ・パイロットIIの中に組み込めるかもしれないという。だとしたら超朗報だ! 文頭に書いたとおり、高齢者だけでなくうっかりミスの多いドライバーの事故も防止できます。

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