自動運転の最前線情報をお届けする本連載、第22回となる今回は、自動運転によって福祉車両がさらに進化する…という話。そもそも日本車は福祉車両について世界トップレベルの技術力をもっています。そこに自動運転の技術が上乗せされれば、あまねく人に「移動の自由」を楽しんでもらえる…。そんな最前線事情をお届けします。
文/西村直人
写真/MAZDA、AdobeStock(アイキャッチ写真は@maroke)、奥隅圭之
シリーズ【自律自動運転の未来】で自動運転技術の「いま」を知る
■自動運転の主役は「技術(機械)」か「人」か
「我々は人中心のHMI開発や、車作りを行なっています……」。
こうしたメッセージを発する自動車メーカーが増えてきました。HMI(Human Machine Interface)は「人と機械の接点」と訳されます。1990年代から注目されてきたHMIは現在、意思の疎通や人の振る舞いに関わることから、Human Machine Interactionとも呼ばれます。
一口に「人中心」といってもさまざまなアプローチがあります。代表的なところでは、技術が中心となり人の運転操作を強制的に補正する手法(ABSやESPなど)や、人の運転操作を活かしながらサポート技術が黒子となる手法(車線中央維持機能など)が挙げられます。いずれも安全な交通環境の実現には不可欠な歩み寄りです。
しかしそれぞれ一長一短あり、二者択一論では語れません。最先端とはいえ先進安全技術をもってしても完全ではないため、“人が技術に頼り切る”ことは現時点、むずかしいからです。
2017年、マツダは将来の自動運転に対する考え方として「Mazda Co-Pilot Concept」を掲げました。
通常はドライバーが運転することで「走る歓び」を提供しながら、その裏でクルマは、ドライバーの状態を常に見護ります。このときシステム自身はあたかもドライバーに代わって運転しているかのような、いわば仮想運転状態で待機しています。
そして状況が変化し、ドライバーには正常な運転操作ができないとシステムが判断した場合には、システム自身が安全な場所まで運転操作を行ない停車させます。
こうしたシステム一連の動きを、マツダは2021年6月の「中期技術・商品方針2021」のなかで「Mazda Co-pilot1.0」と名付け、2022年に発売するラージ商品群から導入を開始すると発表しました。
では実際にMazda Co-pilot1.0にはどんな働きがあるのでしょうか?
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