これってどうよ!? 時間が経ってから感じた新車の過大評価と過小評価

■過大評価のクルマ3/ランドクルーザー300

ランドクルーザーは日本市場でも一定の人気を得ているが、納期が非常に長くなっている
ランドクルーザーは日本市場でも一定の人気を得ているが、納期が非常に長くなっている

 今はSUVが人気だが、大半の車種は、乗用車と共通のプラットフォームを使うシティ派だ。その点でランドクルーザーは、後輪駆動をベースに開発された悪路向けのSUVになる。耐久性の優れたラダー(梯状の)フレームに、ボディ、エンジン、足まわりを搭載している。

 走破力を高める電子制御機能も豊富に採用され、路面が極端に滑りやすかったり、デコボコの激しい場所でも確実に走行できる。

 しかし納期は極端に長い。販売店では「納車される時期はまったく分からない。メーカーは2年以上としているが、4~5年を要する可能性もある。注文は受けられるが、納期を伝えられるのは、生産時期が近付いた時になる」という。

 つまり現時点では買えないクルマだ。そのために先代ランドクルーザーの中古車価格まで高騰している。高年式の車両は、先代型なのに、新車価格を200万円以上も上まわる金額で販売されている。

■過大評価のクルマ4/ホンダシビック

 シビックは初代モデルを1972年に発売して以来、ホンダの根幹に位置するクルマであり続けている。しかし近年のシビックは海外指向を強め、2010年には国内販売を一度終了した。それを2017年に復活させて、2021年には現行型へフルモデルチェンジしている。

発売後1ヶ月での新車販売におけるMT比率が3割を超えるシビック。1.5LターボはNA2.4L級の性能を発揮する
発売後1ヶ月での新車販売におけるMT比率が3割を超えるシビック。1.5LターボはNA2.4L級の性能を発揮する

 全長が4550mm、全幅が1800mmのボディは、かつてのシビックに比べると大幅にサイズアップされた。そのためか前後席ともに居住性は快適で、走行安定性も高い。

 問題は価格だ。1.5Lターボエンジンは2.4Lと同等の動力性能を発揮して、カーナビなども標準装着するが、価格はベーシックなLXでも319万円に達する。

 ちなみにインサイトLXは、カーナビなどを含めてシビックLXと同程度の装備を装着して、ハイブリッドのe:HEVを搭載しながら価格は335万5000円だ。シビックLXとの差額は16万5000円に収まる。

 このように同じホンダ車のインサイトと比べても、シビックは割高だ。走行性能は優れているが、過大評価になっている。発売直後の2021年9/10月には約1200台を登録したが、11月には1000台以下まで下がった。

 ホンダの価格設定は、市場ごとに収支を合わせる考え方だ。そうなると販売規模の小さな日本国内では、1台当たりの価格が高まってしまう。その結果、売れ行きがさらに下がる悪循環に陥っている。

■過小評価のクルマ1/トヨタカローラセダン

カローラセダンは販売数こそ少ないが、基本部分はカローラツーリングと共通だから同程度の商品力が備わるという
カローラセダンは販売数こそ少ないが、基本部分はカローラツーリングと共通だから同程度の商品力が備わるという

 2021年11月におけるカローラシリーズの国内販売状況を見ると、カローラクロスが7300台登録され、シリーズ全体の54%を占めた。次に多いのがワゴンのカローラツーリングで2570台を登録した。シリーズ全体の19%になる。逆に販売比率の低い車種がカローラセダンで、2021年11月の登録台数は650台だ。シリーズ全体に占める比率も5%まで下がる。

 この背景には、セダンというカテゴリーの販売低迷がある。今はカローラに限らずセダンが全般的に下がり、マークX、プレミオ&アリオンなどは生産を終えた。今のセダンの最多販売車種はクラウンで、2021年11月は1619台だ。カローラクロスの22%に留まる。

 従ってカローラセダンの売れ行きは、セダンであることによる過小評価だ。基本部分は、2570台を登録したカローラツーリングと共通だから、カローラセダンにも同程度の商品力が備わる。

 現行カローラセダンは3ナンバー車になったが、全長は4495mm、全幅は1745mmだから、依然として新車で購入できるセダンでは最も小さい。1.8Lノーマルエンジンを搭載したSは、実用装備を充実させて価格は213万9500円だから割安だ。

 欠点として後席の狭さを挙げられるが、セダンを使うすべての人が3名以上で乗車するわけではない。セダンには後席とトランクスペースの間に骨格や隔壁があり、走行安定性、乗り心地、静粛性でも有利になる。カローラセダンはもう少し高く評価して良いクルマだ。

次ページは : ■過小評価のクルマ2/トヨタグランエース

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!