■過小評価のクルマ2/トヨタグランエース
上級ミニバンはアルファードの独壇場で、グランエースは販売が低迷している。しかし大人6名が乗車して長距離を快適に移動できるミニバンは、日本車ではグランエースプレミアムだけだ。
アルファードも多人数乗車は可能だが、3列目シートはコンパクトに格納することを重視するから、背もたれや座面が薄く座り心地は良くない。床と座面の間隔も足りず、足を前側へ投げ出す座り方になる。このようにアルファードの3列目は、1/2列目に比べると、居住性が大幅に下がる。
その点でグランエースプレミアムの3列目は、2列目と同じエグゼクティブパワーシートだ。2列目に比べると、頭上空間が少し減って乗り心地は若干硬いが、6名が長距離を快適に移動できる。もっと高く評価されて良いクルマだ。
■過小評価のクルマ3/ホンダフィット
売れ筋コンパクトカーの2021年1~11月における1か月平均の登録台数を見ると、ヤリスは約8300台(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)、ノートは約7400台(ノートオーラを含む)だが、フィットは約4800台と低迷している。
しかしこの売れ行きは過小評価だ。フィットは全高を立体駐車場が使いやすい高さに抑えたコンパクトカーでは、車内が最も広い。特に後席の足元空間は、ミドルサイズセダン並みだ。ヤリスに比べると乗り心地も優れている。フィットは燃料タンクを前席の下に搭載したから、荷室の床も低く、後席を畳むと大容量の空間になる。
ハイブリッドのe:HEVは、通常はエンジンが発電してモーターを駆動するが、高速巡航時にはエンジンが直接駆動して燃費効率を向上させる。しかも売れ筋グレードのホームでは、1.3Lノーマルエンジンとe:HEVの価格差を34万9800円に抑えた。e:HEVは価格の割安感でも注目される。
それなのになぜフィットの売れ行きは伸びないのか。ホンダの国内における新車販売状況を見ると、N-BOXが圧倒的に多く、ホンダ車全体の30%以上を占める。フィットの価格はN-BOXと重複しているから、需要を奪われている面がある。
■過小評価のクルマ4/スズキソリオ
コンパクトカーではソリオも、フィットと同様に過小評価されている。2021年1~11月の1か月平均登録台数は約3800台だ。少ない台数ではないが、販売が好調ともいえない。
特にライバル車のルーミーが1万1300台売れていることを考えると、登録台数が33%のソリオは過小評価されている。
ソリオの商品力は、ルーミーに比べて明らかに高い。ソリオはルーミーよりも、走行安定性、乗り心地、ノーマルエンジンの動力性能、ノイズ、後席の座り心地などで上まわる。ルーミーがソリオに勝てるのは、荷室の床面を反転させると汚れを落としやすい積載性の工夫、ターボエンジンの設定くらいだ。
ルーミーは小型/普通車が中心のトヨタ車、ソリオは軽自動車が主力のスズキ車、という違いにより、ソリオの過小評価とルーミーの過大評価が生じている。
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