■タイヤチェーンをかけてみよう:1「チェーンをかぶせる」
ジャッキアップと行きたいところですが、バスを上げるには油圧ジャッキが必要です。そんなもの現場にはありませんので、バスを動かしながらかけます。この時に前進するか後退するかも要チェック。ラッチのない端を進行方向にして、その端が道路に着くくらいの位置にかぶせます。
タイヤ半周くらい前に進めるとラッチ側がタイヤに乗ります。こうすることでかけやすくなります。ただ単に下に敷くだけでは両端をタイヤに上げなくてはなりません。無駄な手間になります。
ちなみに進行方向にラッチを向けないのは、踏んで曲げてしまう事故を防ぐため。また、実際は3本一気に巻くのですが、3本全ての位置を合わせておかないと、この段階でどれかが脱落して手間が増えます。
■タイヤチェーンをかけてみよう:2「ラッチをかけて固定」
まずは内側のフックをかけます。これが最も手を焼きます。なぜなら「見えない」から。腕を奥に突っ込んで感覚を頼りにかけるのですね。冗談ではなく針に糸を通す感覚です。
内側さえかかれば、表側のラッチはすぐに締められます。そしてこの状態で数十メートル走りチェーンをタイヤになじませ、増し締めをして一丁あがりです。
基本的には道具は使わず素手でかけますが、作業効率化の部品がありますのでご紹介。まずは延長用のリンク。これをあらかじめかけておけば、端と端を繋ぎやすくなります。ちなみに上記の完成図の写真は、そのリンクで延長しています。カラビナを含む先がリンクです。
■タイヤチェーンをかけてみよう:3「ゴムバンドをかけて終了」
次にゴムバンド。チェーンは必ず緩みます。不意の脱落を防ぎ、増し締めをゴムに頼るというわけです。
これが現在のバス用チェーンです。これだけで驚くほど雪道を進みます。路線バスは後輪駆動ですがそれを忘れるくらい。しかしチェーンを巻く最大の効果は、運転手が安心してハンドルを握れるという点に尽きます。
■チェーンは全てのクルマに有効、手元において損はなし
現在の市販車は当然4WDばかりではありません。でもスタッドレスだから大丈夫は過信です。
例えばスキーに行くとしましょう。当然坂を登ります。その途中に停車したとしましょう。そうなれば前輪駆動では発進が困難です。実際タイヤが空転した瞬間に滑って落ちてきたトラブルも見ました。チェーンを付けていれば……と思うわけですね。
幸い、一般乗用車向けのチェーンはバス用に比べて安価です。参考までにおおよその値段は、写真のワイヤータイプのバス用左右1ペアで4万円、乗用車用であればその半分の2万円、そしてネットで売られているようなスパイク付きのゴムを巻き付けるようなタイプは1万円で手に入れられます。
転ばぬ先のチェーンです。どうか事故のためにレジャーが台無しになりませんように。
それでは末筆ながら、皆様の冬の安全を願っております。気が向いたら、ぜひバスもご利用くださいね! ありがとうございました。
【画像ギャラリー】あのデカいタイヤにどうやってつけるの!? バス用タイヤチェーンの装着法を現役路線バス運転士が教えます!!(10枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方そもそも、スタッドレスはチェーン規制の道路を通過できない物ではなかったですか?
つまり、スタッドレスはチェーンと横に比較する対象ではなく、言うなれば上位互換だから安全を優先するバスなど大型車両はチェーンメインなんじゃないんですかね?