4WDに限らない「雪道の危ない走り方と予防方法」

■4WDといえども過信するべからず、下りの坂道ではブレーキ踏んでも効かない場合も

本格的な4WDは走破性が高いので氷雪上ということを忘れがち。車重が大きい大型4WDの場合、普段の路上よりも停車に時間がかかることも。スピードの出し過ぎには注意
本格的な4WDは走破性が高いので氷雪上ということを忘れがち。車重が大きい大型4WDの場合、普段の路上よりも停車に時間がかかることも。スピードの出し過ぎには注意

 パワーユニットの制御モードにスノーモードが用意されているクルマは、それを利用すると操作が楽だ。2速で緩やかに発進して早めにシフトアップしていく制御となり、スロットルバルブの反応も穏やかになるのでクルマの挙動が安定する。

 最近の乗用4WDはクルマの挙動を安定させてくれる。雪国ではほとんど必須といっていいくらい、軽自動車やコンパクトカーでも4WD比率が非常に高い。

 しかし4WDが優れるのは駆動力だけで、ブレーキの性能は2WDと変わらないことを忘れないでほしい。

 特に車重が重めなアッパーミドルクラス以上のクルマやSUVは、走破性に優れる余りついつい普通の感覚で走行してしまい、下り坂のアイスバーンなどで怖い思いをすることも珍しくない。安定しているのでついつい普通に走ってしまいがちになるが、オーバースピードには気を付けることだ。

 またシフトダウンしてエンジンブレーキを積極的に使うのは4WD車だけだ。FF車で強くエンジンブレーキを効かせようとすると、リアがブレークしてスピンモードに陥ることがある。Dレンジでアクセルを戻すだけなら、エンジンブレーキはほとんど効かないから姿勢は崩れにくいから安全だ。

■路面状況に応じてペースやルートを考える

スタッドレスタイヤは雪上での走行には強いが、クルマが踏み固めた圧雪や凍ってしまった路面では慎重に(tkyszk@AdobeStock)
スタッドレスタイヤは雪上での走行には強いが、クルマが踏み固めた圧雪や凍ってしまった路面では慎重に(tkyszk@AdobeStock)

 新雪が降り積もった道路は、スタッドレスであれば結構グリップする。問題はクルマが踏み固めた圧雪や、翌日以降の気温が上下動したことで凍ってしまった路面だ。

 基本は轍を利用して走ることだ。轍に逆らって走ったり、フラフラと左右に落ち着かない走り方ではクルマを不安定にさせるだけだ。

 ただし圧雪路では凍った塊により路面が凸凹している場合もある。これが厄介な存在で、クルマがコントロールを失うきっかけに成り得るのだ。こうした場所を安全に走り抜けるには、なるべく直線的に走破することだ。

 カーブは道なりに走るのが基本だが、轍でも大きなギャップ(氷の塊や穴など)があれば、それを避けるように走るか、避けられなければ少し舵角を戻してクルマの曲がる力を弱めてやれると安全だ。

 クルマに旋回モーメントが発生している状態でギャップによって前後左右のタイヤに荷重変化が起こると、スピンモードに陥るきっかけになるからだ。

 急の付く動作を避けるというのは、クルマに余計な挙動を作るきっかけを与えないことが目的なのだから、路面からの入力でも同じことが言えるのだ。

 そういった意味では、対向車の進路が少し膨らんだだけで衝突の可能性が高まるから、センターライン寄りを走行するのは危険だ。いつもより意識して路肩よりを走ろう。

 交差点を曲がった途端に路面の状況が変わるのも、よくあることだ。方角が変わることで日当たりが変化して、それまでドライ路面だったのに、いきなりアイスバーンが出現することもある。

 カーブで凍っている路面に遭遇したり、交差点などで突然路面状況が変わることもある。曲がらないからと、どんどんステアリングを切り足すのはNGで、クルマは余計に曲がらなくなってしまう。

 アクセルペダルを踏み込む量を少し減らし、フロントタイヤのグリップが回復するのを待つことだ。大抵の場合は1秒くらい(体感上は長く感じるが)でグリップを取り戻し、向きを変え始める。

 常に先の道路状況を想像して、危険性の少ないルートを選んで走ることが大事だ。土地勘のない場所であれば、さらに用心して走る必要がある。

 スタッドレスタイヤを履いていても、路面状況によってグリップ力は変化する。そのため時々ブレーキでタイヤのグリップを探るようにすることが大事だ。

 これは後続車と十分に距離があることを確認して、ブレーキの利き具合を時々チェックするのだ。

 どれくらいの踏み具合で制動力が限界となり、ABSが作動するか分かればどれだけ速度を控えめにして、早めにしかも丁寧なブレーキ操作をする必要があるか分かるだろう。これによりブレーキが効かず滑った時に緊張することも減り、落ち着いて運転できるようになる。

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