手は届かないけど知りたい!? 現代のフラッグシップモデルの立ち位置とは?

■新しい時代のフラッグシップらしさ

 技術という点では、「CASE」と呼ばれる新しい領域の技術がどれだけ採用されているかもフラッグシップモデルにふさわしいか否かを判断する材料となるだろう。今どきは、CASEに関わる技術開発が積極的に行われており、C(Connected:コネクテッド)とE(Electric:電動化)、S(Shared:シェアリング)については、コンパクトカーのようなリーズナブルな車種でも採用されるなど、かなり普及が進んでいる。

 しかし、A(Autonomous:自動化)の分野については、技術だけでなく社会的、法律的な課題解決が伴うこともあって、現在実用化されているのは自動運転レベル3(条件付運転自動化)にとどまっている。それでもADAS(先進運転支援システム)の普及は軽自動車にまで拡大し、自動化に向けた研究開発はさらに進んでいくとみられている。

 国内では、ホンダのフラッグシップであるレジェンドが2020年11月にレベル3の自動運転機能を搭載し、世界で初めて認可を受けたモデルとなった。レジェンドといえば、日本車として初めての運転席SRSエアバッグを採用したり、FF車で世界初のトラクションコントロールを搭載したり、日本車初の280馬力自主規制超えを果たすなど、エポックメイキングなクルマとして歴史にその名を刻んでいる。

 売れ行きはともかく、自動運転に向けた技術革新という点では、最も進んだクルマであることは間違いなく、ホンダのフラッグシップとして先進的で優れた機能を有したクルマである。

「レジェンド」=「伝説」という車名のとおり、自動車界に数々の伝説を残した
「レジェンド」=「伝説」という車名のとおり、自動車界に数々の伝説を残した

 日本が誇るフラッグシップとして広く認知されている「レクサス LS」も、風格を主張したスタイルや最上級のおもてなしを実現する快適装備を多数備え、走りや安全性においても最高かつ最先端の技術が奢られている。LSも2021年4月に「Advanced Drive」という、高速道路や自動車専用道路での走行を支援する、自動化レベル2に属する高度運転支援技術を採用。CASEの各分野において最高レベルの機能、装備を備え、こちらもフラッグシップにふさわしいクルマへと進化を果たしている。

■ジャンルごとに見られる最上位の存在

 ジャンルにおけるフラッグシップというのも存在する。ただし、この場合のフラッグシップは、すべてのジャンルに存在するわけではない。ミニバン、SUV、セダンにはあるが、コンパクトカーや軽自動車、ワゴン、スポーツカーでフラッグシップという言葉が用いられるケースは少ない。

 よく見かけるケースを挙げるなら、トヨタミニバンのフラッグシップ=アルファードとか、レクサスのフラッグシップSUV=LXなどがある。いずれもフラッグシップという言葉を用いることで、ジャンル内で最も優れた機能を持ち、車格も価格も最上級に位置付けられている車種であることを訴求し、ジャンル内でのヒエラルキーを明確にするという狙いが見てとれる。

高級車でありながら販売台数もケタ外れに多いアルファードはミニバンのフラッグシップ
高級車でありながら販売台数もケタ外れに多いアルファードはミニバンのフラッグシップ

 車種が多様化し、ユーザーのクルマに対する価値観が劇的に変化してしまった現在では、車種間にあったヒエラルキーが崩壊しつつあり、フラッグシップモデルに対する畏敬の念が希薄になったと言わざるを得ない。かつては、メーカーが作り出した最新鋭の技術はフラッグシップモデルから採用が始まり、順次下位のモデルへと普及していったものだが、今は再量販モデルから採用されることがしばしばある。

 どんなに優れたメカニズムや機能を生み出しても、それが広く普及しなければ意味がない。そういった事情が、フラッグシップの立ち位置を曖昧にしてしまった感は否めない。それでもフラッグシップモデルは、最新鋭の技術力が惜しみなく注がれた、メーカー(ジャンル)のなかで最も機能が優れ、最も重要なポジションのモデルであり、あらゆる性能における指標となるべき存在であることに変わりはない。

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