■過去に類を見ない4年という長納期、販売店はどう動く
販売店ではこの異常事態で悲鳴を上げるところが多い。クルマが売れるのは嬉しいことだが、販売店では「登録・納車」ができなければ、1円の価値にもならない。注文書を受け取るだけでは利益にはならないばかりか、注文客の管理に労働力が割かれてしまう。
筆者も長納期車の販売は数多く経験している。1年程度の納車待ちでもかなり骨が折れる業務なのだ。
例えば、通常納期であれば、注文時に終わる下取り車の査定が行えず、別途日程を割いての対応となる。また、手続きが終わり、納車を待つだけだからといって、数カ月の間ユーザーを放置しておくことはできない。2週間に1回から最低でも月に1度は様子を伺うために電話をし、数度来店してもらって顔を合わせながら、納車までの期間を過ごさなければならないのだ。
この先4年間、通常業務に加えて、ランクル注文ユーザーの管理という仕事が増えるトヨタ販売店。営業マンのスケジュールを大きく割かなければならない仕事も多く、納車するまで終わらないこの仕事は、販売店への負担を大きくするだろう。
「いっそのこと落ち着くまでは注文できないようにしたほうがいいのでは?」と筆者は思うのだが、メーカーからの動きはない。販売店からの悲鳴は日々大きくなっている。
■転売防止に誓約書! 今後のランクル販売はどうなっていくのか
ランクル300で大きな問題となったのが、転売目的での大量購入だ。人気のゲーム機や限定グッズなどで話題となる「転売」だが、ついに自動車の世界にまで入り込んできたかと、ため息が出る。
当初は転売目的の注文が多く、長納期化したのだと騒がれた。メーカーは購入ユーザーへ、登録から1年間は転売しないことを約束させる誓約書を提出させるとともに、明らかな転売目的の購入元を、排除するように動いている。
一定程度の効果は生まれたのだろうが、すべてを防止することはできていない。先日オークションへランクル300が出品されて大きな話題となっている。誓約書だけでは、転売を完全に防ぐことはできないということだ。
今一度、この転売に対して考えてもらいたい。もちろん転売を行う者が大きな非難を浴びるべきだが、転売という行為が成立するためには、購入者がいることを忘れてはならないのだ。あなたが転売者の利益に加担することがないよう、トヨタ販売店以外からのランクル300購入は控えて欲しい。買わない勇気が、転売を防ぐ一番の方法だ。
今後の販売状況や納車状況だが、まだまだ先を見通すのは難しい。発売から半年が過ぎた今でも、先の見えないランクル300の販売事情。トヨタもメーカーとして本腰を入れて、問題解決に動かなければ、この異常状態は終わらないだろう。
筆者としては、まず注文停止を発令し、異常事態を鎮静化させるのが先だと思う。トヨタの代表車種であるランクルによって、トヨタ販売店が窮地に陥る状況は避けて欲しい。製造と販売の両輪がしっかり噛みあい、双方が平等に重荷を負担する状況へ、動き出すべきなのではないだろうか。
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