「クルマ離れ」なんて昔の話!? 若者たちの中古車好き そのかなり興味深い理由

■(株)リクルート自動車総研所長に聞いてみた「中古車市場現況と若者が中古車を買う理由」

 前項のレポートで「中古車大好き! 若者の傾向」がわかったところで、自動車業界全般と中古車業界に精通する、リクルート自動車総研所長の西村泰宏氏に、さらに中古車業界の現況などを聞いてみた。

──2021年はそちらの調査開始の2015年以降、過去最大の中古車市場規模とのことですが、要因は何でしょうか?

西村 購入台数も増えていますが、中古車市場規模の拡大は主に「単価の増加」ですね。単価が増加する要因は大きく4つあります。

1)新車購入層の中古車市場への流入
2)SUV(=単価の高いボディタイプ)の人気
3)安全性能などが進化し、そもそもの新車時価格の上昇
4)販売施策の変化で高年式中古車の流通増加

……ですね。

──ふむふむ。なるほど! 今回の調査結果、20〜30歳代で「SUV/クロカン」を買う割合が増えていますけど、高い価格で売られるそれらを、若い世代が購入する理由は何でしょう?

西村 SUVは新車同様、中古車市場でも若者から人気です。ボディタイプ的には相対的に高額となるため、中古車で少しでもコスパのいいクルマを購入しようとする要望は高いです。

──20〜30歳代に特に人気の「SUV/クロカン」の車種は何でしょうか?

西村 ハリアー、ヤリスクロス、ジムニー、ジムニーシエラ、RAV4などですね。その他ボディタイプではスポーツカーがその世代には人気です。軽自動車ではN-BOXやワゴンRなど、新車で売れている軽を購入される方が多いですね。

多少高額となっても流行のSUV/クロカンを選択する傾向が強い
多少高額となっても流行のSUV/クロカンを選択する傾向が強い

──前出の表2で、20〜30歳代の「中古車の買い替えサイクルの早さ」を紹介しましたが、なぜ早いのでしょうか?

西村 平成世代は「一生モノ」という言葉が徐々に当てはまらなくなる世代ですね。ファストファッションなど、その都度必要なものをコスパよく消費することに慣れています。より外観を重視するクルマ選びにも、自身の趣味嗜好が変化する数年で気楽に乗り換えることが現われていますね。

──「若い世代が積極的に中古車を購入するのはなぜか!?」と取り上げましたが、その「ワケ」がこれなんですね。若い世代は服を買うように、中古車もどんどん替える……と。

さて、登録済み未使用車など高年式のクルマが増えている傾向にある、と聞いたことがありますが、2022年以降もこの流れは続きそうでしょうか?

西村 「登録済み未使用車」にかぎるとメーカー&インポーターとディーラーとの販売戦略によりますので、確実に増えると明言することは難しいです。でも、残価設定ローンやサブスク、個人向けリースなどさまざまな取り組みによって、高年式中古車の市場流通は間違いなく増えていく傾向にありますね。

──最後に……、2022年以降、中古車市場はどのように変化していくかなど、予測がありましたら教えてください。

西村 最初に回答した「中古車市場規模の拡大の傾向」がいきなり変わることはありませんので、引き続き単価はじわりじわりと上がることが予測されます。

──なるほど! ほかには?

西村 また、若い世代が中古車市場により多く入り込んでくることで、消費サイクルも徐々に短くなることが予想されますね。その時、クルマの選び方が「今の生活にマッチしたもの、今の感覚でピンとくるもの」になると思いますね。

*   *   *

 この先、中古車市場を活性化させるのは「若い世代」かもしれない。今後も注視しなくては!!

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