新型ステップワゴンはシンプルデザイン路線に大転換したホンダの勝負車!?
新型ステップワゴンは、2グレード構成となる。ひとつはベーシックな「エアー」。こちらは文字通りのエアコン顔だ。もうひとつの「スパーダ」はややいかつい顔だが、近年のオラオラトレンドからすると、充分エアコンの一種に分類される。個人的には、よりシンプルな「エアー」に強く惹かれる。ここまでシンプルだと逆に、新型ヴォクシーの超獣顔とも互角のインパクトがある。
新型ノア/ヴォクシーの受注をみると、ともに絶好調ながら、全体の6割を超獣顔のヴォクシーが占めているという。ミニバンユーザーの多くは、より強烈な存在感を求めていることが理解できる。
そのつてで行くと、シンプルを極めたことでインパクトのあるステップワゴン・エアーは、いい勝負を展開できるのではないか……と期待が高まる。
初代N-BOXが大ヒットしたように、シンプルデザイン志向のユーザーは絶滅したわけではないはずだ。フリードだって顔は控え目。むしろステップワゴン・エアーのデザインには、中間的なノアやセレナを圧倒する、強烈なサワヤカさがある。まさにエアコンの風である。エアコンなのは顔だけではない。横や後ろは冷蔵庫だ。
まずサイド。余分なラインも装飾は一切なく、ウエストラインもほとんど一直線。まったくもって「何もしていない」に近い。もう少しリヤゲート寝かせれば、ぐっとスポーティでバランスがよく見えるのだが、あえてそういったこともせず、ほとんど直立させてスペース感を優先している。このあたりの手法は初代ステップワゴンそのままで、物置が走っているようなイメージが好感を呼ぶという計算と推測する。
先代ステップワゴンで話題になったリヤのワクワクゲートも廃止され、通常の上開き型のゲートに戻された。ワクワクゲートは大きな話題になったが、結局後ろから乗り降りする使い方はあまりされなかった。シンプルかつ軽量に仕上げることを優先すれば、廃止は順当と見る。
守旧派カーマニアのひとりとして、ヴォクシーの超獣顔には「すげえ! トヨタは攻め続けてるな!」と感嘆するが、新型ステップワゴンのデザインには、「いいなぁ」と素直に惹かれる。近年のホンダは、シンプルデザイン路線に大転換して突き進んでいるが、新型ステップワゴンはそれを代表する1台といえる。
1位はやはり…? デザイン重視・厳選歴代国産「四角い名車」4選
では、過去に発売された国産「四角い名車」を挙げると、どんなラインナップになるだろう。四角にちなんで4台厳選してみた。選考基準は「デザイン優先」ですので念のため。
第1位 初代ワゴンR/機能を極めた箱型デザインとして、究極の名作。箱型でありながら、その微妙なRにぬくもりがあり、思わず頬ずりしたくなるような愛らしさも持っていた。
第2位 初代N-BOX/特にノーマル系のデザインは、シンプルで飾り気がなく、実に秀逸。箱型ながら、フロントタイヤのフェンダーが前にくっきり浮き出ているところが、「自動車」を強く感じさせた。
第3位 初代ステップワゴン/ミニバン界不朽の名作。小細工を排し、道具感に徹したデザインによって、逆に豊かな生活を予感させたところがスバラシイ。
第4位 S-MX/ステップワゴンと同じ「箱」でありながら、より「走り」をイメージさせる台形フォルムで、自動車デザインとしてのバランスは素晴らしかった。初代エリシオン(前期型)もこの部類に属する傑作。
このように、ベスト4のうち3台をホンダ車が占めた。ホンダはシンプルな箱型デザインの名門なのである。
【画像ギャラリー】デザイン重視・歴代国産「四角い名車」ランキングを画像で見る(13枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方