コロナ禍と半導体不足に揺れる激動のアジア、ASEAN最新自動車事情


■コロナ禍はまだ終わりが見えない

 しかし、マレーシアの状況が改善されたとしても充分な供給力を回復するまでには少なくとも1年以上はかかる可能性がある。ベトナムはワイヤーハーネス(自動車用組電線)などの労働集約的な自動車部品の集積地となっている。

 製造業の拠点を中国から分散し、チャイナ・プラスワンが進められた結果、ベトナムは生産移転先の有力国となっていた。

チャイナ・プラスワンとは、近年の米中摩擦などリスクに対応するため、中国国外にサプライヤーネットワークを追加して中国依存度を下げる動きのことだ(xtock@AdobeStock)

 電線を束ねる工程で人手を必要するため、活動規制などの影響を大きく受ける。日系自動車メーカーは、ワイヤーハーネスをベトナムに依存している。

 マレーシアとベトナムだけがサプライチェーンの危機を引き起こした犯人ではない。コロナの集団感染が発生し、稼働規制がかかってサプライヤーの供給が止まるなど、あらゆる国、地域で部品の調達が滞る事態が起きている。

 サプライチェーンの混乱は今も続いている。サプライチェーンの強靭化は一朝一夕にはできず部品サプライヤーと一緒に危機に対して迅速かつ的確に対応することがますます求められることになろう。

■ASEAN主要5カ国の2021年通年の新車販売台数は対前年比15%増

 2021年のアセアン主要5カ国合計の年間新車販売数は、通年で272万台。2020年比(237万台)で15%増加したが、2019年比(333万台)には届かなかった。

 2020年はコロナ以前の2019年対比でマイナス30%以上の落ち込みで、2021年は2019年対比でマイナス20%であった。コロナ以前の市場規模への回復にはまだ至っていない。

生産活動だけでなく消費活動についても、各種制限によって2020年4月に大きな落ち込みが確認できる。また、ウイルス変異株の影響で2021年7月を底として販売台数が減少している

 月別新車販売台数の推移を見ると、コロナショックによる落ち込みは2020年4月に底を打った。コロナ以前の販売台数よりも低いレベルでの推移ではあるが、2020年末まで右肩上がりを維持し、12月にはコロナ前の水準にまで回復した。

 しかし、再び2021年の1月に販売台数が減少。新型コロナウイルスの感染再拡大で経済活動の制限が厳格化されたタイとマレーシアで販売状況が悪化したためだ。

 第2波が発生し、消費者心理が冷え込んだ。その結果、両国とも新車販売台数が対前年比同月で20%以上落ち込んだ。

 2021年4~6月期は5カ国すべての国の経済がプラス成長となり、新車販売市場も上向いたが、2021年6~7月にかけて発生したコロナ変異種デルタ株の感染急拡大による影響で販売台数が減少した。

 一方、足元では回復をしており、2021年12月には主要5カ国の新車販売台数はコロナ以前比で約10%増加している。

■ASEAN主要5カ国の新車販売状況

 インドネシアの2021年の新車販売台数は予測を上回り、88万台で主要5カ国のなかでトップとなった。2022年通年の新車販売台数は90万台に達すると予測を示している。

 タイの2021年の新車販売台数は前年比4.2%減の76 万台。コロナの落ち込みの反動でプラスが期待されたが、コロナ禍で落ち込んだ前年も割り込んだ。2022年通年のタイの新車販売台数は86万台を見込んでいる。

 マレーシアの2021年の新車販売台数は、前年比3.7%減の50万9000台。コロナ以前の販売台数を超えることはできなかった。コロナショック後、感染拡大によって発令された移動制限令に大きく左右される結果となった。

 ベトナムの2021年の台数はコロナ以前の2019年の通年(2019年対比マイナス5%)を超えることはできなかったが、前年比3%増の30万5000台だった。

 フィリピンの新車販売台数は通年で22万3000台(2020年)、27万台(2021年)でコロナ以前の37万台(2019年)に比べて各々マイナス40%、マイナス27%の大幅減となった。

ちなみに2020年4月の1週目、ASEAN10カ国の1日当たり新規感染者数のうち98.7%を、フィリピン、マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポールの6カ国が占めたらしい

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