世界的に見ても、モーターショーになくてはならないのは“コンパニオン”の女性たち。しかし、先進国を中心に男女共同参画社会の実現などが声高に叫ばれるようになってきたこともあり、欧米のモーターショーではほとんど見かけることはなくなった。
とはいえ、筆者はおもにアジアとなるが、新興国で開催されるモーターショーを多く取材すると、モーターショーにおけるコンパニオンは、“ショーの華”としていまも大活躍している。そこで筆者が訪れた各国のモーターショーにおけるコンパニオンの傾向を述べてみたい。
文・写真/小林敦志
【画像ギャラリー】モーターショーに華を添える美しきコンパニオンの世界(全40枚)
■アメリカ/自由奔放な姿勢が目立つ
人種や性別などによる偏見のない多様性のある社会の実現が重んじられる国だけに、基本的にコンパニオンは会場内にはほとんど見かけないものの、いくつかのブランドで少人数ながらコンパニオンを採用していることがある。
自分が担当している展示車に近づくひとがいたら気軽に声をかけたりしている。さらには、周囲の目も気にせずに来場者とおしゃべりに熱中するなど、実に自由奔放な姿はさすがにアメリカである。
アメリカでは市販されていないものの、デトロイトショーでは毎回のように中国メーカーがリサーチも兼ねているのだろうかブースを構え、コンパニオンがいたりするのだが、本国でのモーターショーと比べるとその数もほんのわずかでひっそりとなっている。
■中国/北京、上海ショーでは存在しない?
年間を通じて中国全土でモーターショーは開催されているのだが、そのなかで世界的にも注目されているのが、交代で隔年開催となる北京ショーと上海ショー、そして毎年開催となる広州ショーの3つとなる。
“1級都市(中国では都市にランクがつけられている)”で開催される北京、上海ショーでは、プライドを重んじる中国政府の意向もあり、コンパニオンというものをショー会場で使ってはいけないことになっている。
15年ほど前あたりから、北京と上海ショーは世界的にも注目され、開催規模も拡大していった。
もともと会場には多数のコンパニオンがいたのだが、毎年のようにコスチュームの露出が激しくなり、会場内には多数の“カメラおじさん(中国ではカメラ機材が高いこともありおじさんが多い)”が溢れ、“格式”というものが軽んじられるようになり、政府が「コンパニオンはダメ」ということになったのである。
その代わり、“車両説明員”として若い女性をブースに置くことが許された。その車両説明員になるには、単なる容姿だけでなく、応募するメーカーの商品知識などに関するペーパーテストも行われ採用されているとのことだ。
そのため、衣装もビジネススーツや日本の企業でよく女性社員が着ているような制服といった清楚な衣装がメインとなっている。会場で見ていると、文字通り車両説明員として、来場者の展示車への質問に答えていることも多く、それを邪魔せずに撮影をお願いするのが結構大変である。
二級都市である広州市で開催される広州ショーは、相変わらずなんの制限もなく会場にはコンパニオンが溢れ、コンパニオンを撮影するカメラおじさんも目立つ。
中国メーカーのなかには地元で採用(もしくは地元出身者)したコンパニオンを使うケースも多いと聞く。
例えば長安汽車の本拠地は重慶市なので重慶市及び近郊で、吉利(ジーリー)汽車は杭州市が本拠地なので、杭州市及び近郊で若い女性をコンパニオンとして採用し、モーターショー会場でコンパニオンとして活躍してもらうということらしい。
また“金髪”、つまり白人女性のコンパニオン人気が中国人民の間ではかなり高く、多くのブランドでは白人女性のコンパニオンも活躍している。
中国式“男女平等”の現れなのか、少数ながら“筋肉ムキムキ”の“マッチョお兄さん”がいたりもするブランドもある。
また、下位の中国メーカーになると、コンパニオンのなかに経営者の“愛人”が混ざっているといったことも、まことしやかに情報として流れている。
少し前の話だが、広州ショーの会場取材をした日の晩に、縁があって広州市内にある日本人向けの“接待の伴う飲食店”に行くことがあった。
日本語の話せるママさんに「モーターショーの取材に来ました」と話すと、「私の店に、コンパニオンやってる女の子いるね、呼んであげるよ」と、たまたま休日だったその女性を店に呼んでくれた。
冗談だろうと思いながらも話を聞くと、重慶の出身で広州市内に住んでおり、長安汽車のブースでコンパニオンをしているとのことであった。
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