二代目ホンダNSXの販売も終了し、なんとも呆気なく終わってしまったその系譜。きっといつか3代目に出会えると信じてやまないが、今回は初代NSXのバリエーションをいのうえ・こーいちさんに振り返ってもらおう。
すぐにイメージをするタイプRのみならず、GT性能を追いかけたタイプTなど、NSXにはいくつかのバリエーションがあった。
世界に向けてホンダイムズを広げ、あのアイルトン・セナも開発に携わったといわれるNSX。またこんな名車に出会える日を夢見て歴史を振り返ろう。
文/写真:いのうえ・こーいち(トップ画像=HONDA)
■過激なサーキットスペック「タイプR」の登場
ホンダNSXは本当によくできた、完成度の高い和製スーパーカー。1990年9月、いまを去ること30年前に発売されたのだが、現在の目で見てもぜんぜん旧さを感じさせない。
それどころが、昨今の吊り目で尖ったクルマばかりを見ていると、われわれがむかしからイメージしていたスーパー・スポーツのイメージにより近い、どこか心和んでしまうような気にさえさせられてしまう。思い返してみれば、それほどの憧れの存在でもありつづけたホンダNSXであった。
さて、前回その誕生と卓越したスペックを紹介した。こん回は… そうだ、注目の「タイプR」の紹介からスタートしよう。
デビュウしてから2年あまりを経過した1992年11月にホンダNSX「タイプR」が追加された。クルマ好きにとって「R」という文字は「GT-R」に象徴される通り、レースを意識した高性能モデルを連想させる。
そのむかし、「軽量化」としてラジオやヒーター(もちろんクーラー、エアコンは最初からなかった)、時計などが省略されたのは1960年代末の「GT-R」(スカイラインね)だが、1990年代のNSXの場合はもっとすごい。
逆にいうと、それだけ近年のクルマはいろいろ備わっているということだが、列挙してみるとエアコン、オーディオ、トラクション・コントロール、フォグランプといった装備品のほか、遮音材を減らし、ドア・ビームなど一部の部品をアルミ化するなどして、120kgほどの軽量化を実現した。
これには、アルミ・ホイールのデザイン変更軽量化、バケットシート、ステアリング・ホイールなどをレカロ、MOMOといった既成の軽量パーツに変更したことも含まれている。
もちろん足周りを強化し、エンジンもより精密にバランス取りをするなど、チューニングアップも抜かりない。
これを「ピュア・スポーツモデル」と位置づけ、3年間、480台という受注生産で販売をした。
完成形として誕生した印象の強いホンダNSXだったから、ほとんどチェンジすることなく生産がつづけられたが、1993年2月に助手席エアバック追加など、1994年2月に45/40扁平タイヤがオプション導入されるなどした。
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