いざというとき「フルブレーキ」踏めますか?やっておいたほうがいい危機回避

いざというとき「フルブレーキ」踏めますか?やっておいたほうがいい危機回避

 いつものクルマで、いつも通りの時間に出かけても、交通の状況や路面の状況は、いつも同じとは限らない。交通事故はいつ起こるかわからないし、突如ゲリラ豪雨に巻き込まれることもある。

 刻々と変わる状況のなか、ドライバーは危険を察知したら瞬時に判断して回避行動をとらなければならないが、これがなかなか難しい。

 たとえば、ブレーキ。突然目の前にクルマが現れた、もしくは歩行者が飛び出してきた、という状況に陥っても、実は多くの人がフルブレーキを踏めていないそう。普段フルブレーキをする機会がないだけに、フルブレーキをしているつもりでも、できていないそうなのだ。

 どんな状況であっても冷静に対応するためには、やはり知識と訓練が必要。クルマの運転に関する、いざというときのためにやっておいたほうがいいこと、をいくつかご紹介しよう。

文:立花義人、エムスリープロダクション
アイキャッチ画像:Adobe Stock_detailblick-foto
写真:写真AC、TOYOTA、NISSAN、HONDA、SUBARU、

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踏んでるつもりでも実際には踏めていない

 最近はほとんどのクルマに「ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)」が装備されている。昔は「腕のあるドライバーであればABSなしの方が早く止まれる」なんて言われていたが、最新のABSは緻密な制御を行ってくれるため、しっかりABSが作動するまでブレーキを踏めば最短距離で停止することが可能だ。

 ただ、乾燥したアスファルト路面でタイヤの状態も良く、ある程度スピードに乗った状態で、危険を察知後ブレーキを踏んでも、ABSが作動するまでしっかりとブレーキを踏めるドライバーは意外と少ないという。最近の乗用車であれば間違いなくブレーキサーボ(倍力装置)が付いているので、ABS作動領域までそれほど大きな踏力が必要なわけではないのだが、自分ではフルブレーキのつもりでも、実際にはそうなっていないのだ。

 そうなってしまう理由のひとつは「シートポジション」だ。フルブレーキ時には強い踏力とともに、踏み込む際のストロークも必要だが、普段からゆったりとした運転姿勢を取っている人は、いざという時、限界作動領域に届く前にブレーキを踏む足が伸び切ってしまって、フルブレーキを踏めない可能性がある。

 またお尻をしっかりとシートバックに付けていないと、ブレーキを踏む足に十分力が伝わらないばかりか、素早いペダル操作ができず、危険を感じてからブレーキが実際に効き始めるまでの間にクルマが走る距離が伸びてしまう。

 もう一つ原因として考えられるのは意識の問題だ。普段はじんわりとブレーキを踏むことでスムーズな運転を心がけるはずだ。また、「急」の付く操作がNGだと教習所で教わった記憶も影響するかもしれない。つまり、普段そんなことをしないのに、急にガツン!! とブレーキを踏むのを無意識にためらってしまう可能性があるのだ。

安全な場所で一度やってみてほしい

 いざというときにしっかりフルブレーキをするためには、まずは正しい運転姿勢をとること。シートに深く座り、座面はしっかりとペダルを踏める位置に、シートバックはステアリングの頂点を握った状態でも肘が伸び切らない位置に調節する。正しい運転姿勢を取ることでブレーキペダルを強く踏めるようになる。まずこれが大前提だ。

 そのうえで、可能ならば、周りにクルマや建物がなく安全な場所かつ、タイヤが傷みにくいよう砂利や土などの滑りやすい地面のときに、30km/h程度からのフルブレーキングをやってみてほしい。きちんとブレーキペダルを踏み込めていれば、タイヤが一瞬ロックした直後にABSが作動する。「ギ、ギ、ギ」と断続的に作動音が鳴る(あえて聞こえるようにしている)ので、その踏み込み加減と感覚を、知っておいてほしい。いざというときに役に立つはずだ。

イザという時にしっかりとした踏力を確保するため、正しい運転姿勢はフルブレーキの必須条件だ(写真AC_FineGraphics)
イザという時にしっかりとした踏力を確保するため、正しい運転姿勢はフルブレーキの必須条件だ(写真AC_FineGraphics)

 最新の先進運転支援技術には、緊急時のブレーキ操作に不足があるとシステムが判断した際に、踏力をサポートしてくれる技術もあるが、これはあくまでも「サポート」。最先端のシステムがあるからといって過信は禁物だ。

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