■オンライン販売でEVとFCVに絞って日本市場を見据える
今回、日本で発売するのは、EV「アイオニック5」と、FCVの「ネッソ」の2車種。価格はアイオニック5が479万~589万円、ネッソが776万円だ。
EVのアイオニック5は、サイズも航続距離も価格も、トヨタbZ4Xや日産アリアとほぼガチンコ。デザインはシンプルで美しく、むしろ日本製EVに勝っている。
現代グループは現在、アウディ出身のペーター・シュライアーにデザイン部門をすべて任せ、完全にドイツ系デザインにシフトしている。
シュライアーは初代アウディTTのデザインにかかわった名デザイナーだが、その成果は目覚ましく、4ドアクーペの起亜スティンガーを筆頭に、今やドイツ車のデザインを超える境地に達していると見ている。
それでも、国産車があまりにも強い日本市場では、普通に売ったのでは国産EVに勝ち目はないが、カーシェアと組んだのは大きな強みになる。
EVなら、ディーラー店舗なしの販売戦術は、すでにテスラが実行済みで、それなりの実績を上げている。従来型の購入方法にこだわりのない層をオンラインで取り込んで、そのままカーシェアで貸し出しもできるという戦略は、「この手があったか!」と言うしかない。
現代が腰を据えて日本市場に挑めば、10年後には、EVの分野でかなりのシェアを奪っている可能性は高いと見る。
ただ、コストパフォーマンス的には、日韓ともに、昨年大幅値下げを実行した米・テスラモデル3に負けているのも事実。「スーパーチャージャー」という自前の充電網も持つテスラの優位は変わらず、現代製EVがシェアを伸ばすとしたら、テスラはもっともっと伸ばしているはず……というのが、合理的な予測だろう。
加えて小型EVの分野では、中国勢が日本に進出すれば、その圧倒的な安さによって、間違いなく席巻される。中韓の足音はすぐそこまで来ている。国産メーカーも、従来型のビジネスから脱却する糸口を見つけてほしい。
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