■熟成を続けていったRB26DETT
1995年1月にR32からR33GT-Rへのモデルチェンジで、RB26DETTが最も大きく変わったのは過給圧を570mm/Hg(0.78kg/cm2)→620mm/Hg(0.84kg/cm2)に引き上げることです。最高出力は280馬力のままですが、最大トルクが1.5kgm大きくなって37.5kgmとなったことです。
このブーストアップは、ターボのアウトレット口径が拡大され(ターボのA/R変更)、それとつながるフロントパイプ口径を54mmφから60.5mmφに拡大。2次排圧を低くするなどの改良によって達成されています。
またピストンの低フリクション化対策としてピストンコンプレッションリング2枚の薄幅化を施すほか棚落ち対策(≒耐久性アップ)としてピストンの肉厚化も行われています。同時にECUを8ビットから16ビットにグレードアップし、点火時期及び燃料調整マップも見直されました。
R33GT-Rに試乗して感じたのは、骨太で伸びのいいエンジンでした。スペック上は、最大トルクが1.5kgm大きくなっただけなのですが、2次背圧が低くなったことで全体に排気ガスの抜け感が良くなって、気持ちよくかつ刺激的に吹き上がっていく感覚が強くなっています。
N1エンジンは、ノーマル状態ではレスポンスの鈍さが感じられますが、一旦エンジンが回り出すとフリクションの少なさも手伝ってか、軽快な吹き上がり感がありました。
■R34で進化の頂点に
1999年1月に登場したR34GT-Rはターボをセラミック・ボールベアリングターボに変更し、過給圧を620mm/Hg(0.84kg/cm2)→685mm/Hg(0.93kg/cm2)にアップ。最大トルクを40.0kgm/4400回転まで高めています。
N1仕様はコンロッドの軸受けメタルにケルメット材を採用することで高負荷・高回転時の耐久性をアップしています。
あわせてインタークーラーの大型化、ウオーターポンプのベーンの大型化によって冷却性能の向上も図られました。
最終モデルとなるVスペックNURはVスペックのN1仕様がベースになっており、専用強化シリンダー、強化ピストン、強化コンロッド低フリクションプピストンリングが採用され、精密なバランス取りが施されています。
またターボはタービンの材質をセラミックからメタルに替えたボールベアリングターボが採用されています。
R34GT-Rは、さらにエンジンが軽やかに吹き上がるようになっていました。ボールベアリングターボのレスポンスの良さ、エンジンの冷却性能の向上によるクリアなパワー感が印象的です。軽快に鋭くパワフル(トルクフル)になっているのを強く感じました。
RB26DETTデビュー当初は、これまで市販エンジンでは経験したことのない600馬力以上という高い目標設定のため、開発と熟成を繰り返しながら進化していた印象がありますが、R34GT-Rの頃になると進化はほぼ完了します。
もともとオーバークオリティな設計のエンジンだっただけに、進化熟成は市販エンジンよりはかなり余裕があったのが分かります。
GT-RはR32からR34まで多くのチューニングカーが作られ、ブーストアップ程度のライトチューンから800馬力オーバーのドラッグ仕様までたくさんのチューニングカーに試乗する機会がありましたが、その性能を体感するにつけRB26DETTがどのくらい特別なエンジンであるかを強く実感しました。
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