ベーシックのよさで売れる新型アルトに見る「かつてのエッセもそうだが、ふつうのクルマが一番!!」

素うどんは味が命! ベーシックのよさで売れる新型アルトに見る「かつてのエッセもそうだが、ふつうのクルマが一番!!」

「このクルマは素うどんですから」とそんなことを言ったのはS660の開発チームだったか。これから自分で自由にトッピングして好みにしていく。そんなうまい素うどんのようなクルマという表現はまさに、ベーシックなクルマにこそふさわしい。

 本企画ではそんな、ベーシックなよさが光るスズキアルトをピックアップ。同じくベーシックさが光っていたというエッセと合わせて、清水草一氏に語ってもらった。

文/清水草一
写真/清水草一、西尾タクト、ダイハツ

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■新型アルトは装備も走りもいい!

 新型アルトの評価が高い。アルトは軽自動車のエントリーモデルだが、デュアルカメラ式の衝突被害軽減ブレーキやサイド&カーテンエアバッグといった安全装備が、全車標準で付いている。

 これは昨年11月からの義務化を受けてのことだが、最廉価グレードの「A」でも回生機能(エネチャージ)付きだし、エアコン、パワステ、パワーウィンドウ、UVカットガラス(フロント)、大型ディスプレイ(ナビはオプション)といった快適装備も付いている。それでお値段94万3800円を実現しているのだ! この安さはスゴイ。

廉価グレードでもエネチャージを搭載して燃費を稼ぎに来ているアルト。消費税込みで100万円を切る価格でどこまで行けるのか。そんな挑戦を感じる「素うどん」だ

 驚かされるのは、廉価グレードの「A」や「L」でも、4WDモデルならシートヒーターが標準装備なことだ。シートヒーターなんて、輸入車でもちょっとしたゼイタク品。それがおおむね標準装備というのはビックリだ。寒い朝にアルトに乗った時、とってもありがたかったです。

■素うどんは軽さが命

 走りもいい。なにより効いているのは、わずか700kgくらいしかない車両重量だ。私が試乗したのは最上級グレードの「ハイブリッドX」だったので、マイルドハイブリッド付き。660ccのノンターボエンジン(49ps)+モーター(2.6ps)の加速はとっても軽快だった。

ハイブリッド仕様はISGを搭載し、エネルギー回生機能に加えて加速時のモーターアシストも行う。WLTC燃費で27.7km/Lは立派だ

 近年は軽の主流はN-BOXなどのハイトワゴンモデル。車両重量は1トン近いので、ノンターボモデルだと、峠を上るのはかなりキツイ。しかもハイトワゴンは天井が高いだけで、居住区間の面積はアルトと同じ。アルトだって後席でラクラク足が組める。

 つまりアルトは「安い、速い、広い」! そして燃費は軽自動車ナンバー1。WTLCモード燃費は、マイルドハイブリッドのFFモデルだと27.7km/Lを誇る。ちなみにライバルのミライースは25.0km/Lです。

■同じく素うどんカーだった? ダイハツエッセ

 アルトに乗って思い出したのは、かつて私が購入したダイハツエッセである。

 エッセが登場したのは2005年。試乗して衝撃を受けた。最大の衝撃は、ロングストローク型の新エンジンの低速トルクだった。それまでの軽のエンジンは、スクエアかショートストロークタイプばかりで、ロングストロークはエッセに積まれたKF-VE型が初。車両重量の軽さもあって、ブチ回さなくてもラクラク加速する感覚は、それまでの軽にないものだった。

エッセから始まったKF型エンジンは幾度もバージョンアップが行われつつ生産され、最新のDNGAにも採用されている

 しかもエッセはデザインがよかった。台形のフォルムはいかにも安定感があり、ルノー5などのかつての名車を彷彿とさせつつ、すべてがシンプルで、初代フィアットパンダのようにムダがない。この素うどんのようなコンセプトは、カーマニアである私のココロに深く刺さった。

 これでMT車だったらどんなに楽しいだろう。そう思ったが、エッセのMTモデルは、当初最廉価グレードのECOのみで、それ以外は3ATか4AT。もちろん最廉価グレードなんて、広報車にもディーラー試乗車にも用意されていなかったから、試乗することはできない。エッセECOは、まだ見ぬあこがれのクルマになった。

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