ガソリンエンジン開発終了は本当か? 日本における電動車の時代を予測する!!

■国内でのEVへの興味は深いが……

 一般消費者の間では、いわゆる“電気自動車”への抵抗などはなく、むしろ興味津々といったところ。

 しかし、現状では集合住宅での充電施設設置がかなり困難なことや、急速充電施設などでの“充電渋滞”などなど、ネガティブ情報のほうが耳に入りやすいので、「どうなっているの?」と不安に思う気持ちが優先してしまっているのが現状。

 売るほうとしても、内燃機関車よりは面倒なことが現状では多いのは確かなので、クレーム回避もあり積極的に販売することができない。

 日本はデジタル社会という面でも遅れているとされているが、あるテレビ番組で「政府への国民不信がデジタル社会実現を遅らせている」と識者が発言していた。本稿執筆中も航空会社のシステム不具合や、メガバンクのシステムトラブルといったニュースが飛び交っている。

 しっかりとシステム管理ができていない現状を見れば、デジタル化による情報漏洩などの不安が高まるのももっともな話。

 電動車普及についても、現状でもちょっとしたことで電力供給ひっ迫になるのに大丈夫なのかなどの不安に政府は明確な説明を行ってきていない。しかも、現政権は一度発表した政策などでも、少しでもマスコミや国民から不満が出れば方針変更することが相次いでいる。

 軌道修正を否定するつもりはないが、その頻度が多すぎると、「電動車しか買えなくなるといっているが、結局“弱者救済(電動車は高い)”などとして内燃機関車も引き続き買えるようになるのではないか」と、政府が梯子を外すような動きをするかもとなれば、電動車普及はなかなか進まなくなりかねない。

■海外でのEV普及への方策は

世界での販売が予定されているトヨタ bZ4X
世界での販売が予定されているトヨタ bZ4X

 タイのNEVPC(国家電気自動車政策委員会/このような組織が政府内にできている)は2021年3月に、2025年に年間ベースで105万1000台の電動車生産をめざし、国内での電動車利用台数を105万5000台にするとしているから、大部分の電動車を自国産で賄いたいとする方針を発表した。

 そして、2022年2月になると、その具体的なロードマップが示された。電動車導入初期段階では海外からの電動車輸入で普及促進を図るため、輸入関税の引き下げを行うとのこと。

 次の段階としては、自国内生産した電動車を自国内普及させることを優先し、そのあとに自国生産した電動車の輸出を開始するとのことであった。また電動車については、車両に課税される物品税の引き下げも行うとしている。

 さらに内燃機関車を所有するユーザーが速やかに電動車へ移行できる体制作り、充電施設の拡充なども行うということであった。

 タイは現在でも、“ASEAN(東南アジア諸国連合)のデトロイト”ともいわれ、自国ブランドの量販完成車メーカーはもたないものの、世界のメジャー完成車メーカーの工場が数多く存在する。

 タイ政府は今回の車両電動化の動きを敏感にとらえ、電動車生産に必要な部品についても国内で賄えるようなサプライチェーンの構築も進めており、いち早く電動車の生産集積地としての地位も獲得しようとしている。

 具体的なスケジュールや数値、そして何を政府が行っていくのか、実に明確にタイ政府は自動車産業が自国にとって重要基幹産業であることを理解して表明している。日本より早くタイのほうが車両電動化は進んでいきそうな“勢い”をまさに感じる。

■伝わらない日本政府の『EV本気度』

 一方で日本政府は何をどのように進めたいのかなど、実際にしっかり考えているものと信じたいが、それをメッセージとして発信するのが実に下手なように見える(一般国民に伝わらない/ここだけは民間のエキスパートの助けを積極的に得てもいいのではないかと考える)。

 日本以外の国々の車両電動化の様子を見ると、官民一体となったまさに“国策”のように進んでいるように見える。日系完成車メーカーは電動車ラインナップの拡充はできるがそれだけ。国民の政治不信解消はできない。政府と国民の信頼回復は、政府でしかできないこと。

 車両電動化の進む欧州では、すでに既存の自動車部品会社などでリストラなどの失業問題が発生し、2022年からはこの傾向が完成車メーカーに波及するのではないかとされている。

 そのため職を失った内燃機関系の技術者が電動車関係のエンジニアとして働ける職業訓練所のようなものを開設する国も出てきていると聞く。ことは“マイカーがガソリンから電気で動くことに変わるだけ”では確実に終わらないのである。

 日本において、国民のなかには雇用問題などについて政府が“見て見ぬふり”をするのではないかと不安に思う人もいるはず。

 車両電動化の進め方次第では、日本の自動車産業のステイタスが大幅ダウン、つまり日本の家電製品の二の舞が起こることも十分あり得るのである。自動車産業はすそ野が広く、日本の重要基幹産業であり、なぜ焼け野原となって再出発した戦後日本が自動車産業に活路を見出したのか是非政府は再認識してほしい。

 ただ、政府への信頼回復も現状を見ればなかなかハードルの高いものだと思わざるを得ない。

 しっかり政府が情報発信を行い、なぜ電動化が必要なのか、そして国民にはどのようなメリット(あるいはデメリット)があるのか(ここ重要)、そして政府は何をするのか具体的なロードマップを提示し理解してもらうこともハードの普及と同時進行で行うべきではないかと考える。

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