ガソリンエンジン開発終了は本当か? 日本における電動車の時代を予測する!!


 2022年2月上旬に「日産がガソリンエンジンの開発を終了」というショッキングな報道が流れたが、日産は後の決算会見でこれを否定している。しかし世界的な電動化の流れの中で、今後ガソリンエンジンが削減されていくように見えるのも事実。

 とはいえ、すぐにすべてを電気自動車にすることもあまり現実的とは思えない。インフラの不足に加え、EVに必要な電力も不足しているのは間違いないからだ。果たしてこの先ガソリンエンジンはどうなってしまうのだろうか?

文/小林敦志、写真/ベストカー編集部

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■作戦成功? 欧州委員会が方針転換

2021年6月より予約を開始した日産 アリア。発表は2020年7月。文字通り満を侍しての販売だ

 日系完成車メーカーのHEV(ハイブリッド車)を除く、電動車=PHEV(プラグインハイブリッド車)・BEV(バッテリー電気自動車)・FCEV(燃料電池車)のラインナップが不足している。

 欧米や中国、韓国メーカーの動きに対して、軽く周回遅れ以上に見えるのはいまさら語るべきことではないだろう。しかし、この状況が徳川家康のように、“鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス”的な作戦だったかのように見えてくる事態が発生した。

 2月2日(現地時間)EU(欧州連合)の欧州委員会は、原子力発電(以下原発)及びLNG(液化天然ガス)発電について、持続可能とする“グリーンエネルギー”として認めることを発表している。

 これまで、“脱炭素社会”の実現を声高に表明していたEUであるが、一転して化石燃料であるLNG発電をグリーンエネルギーとして認める発表について、加盟国のなかではまさに大騒ぎとなっている。

 そもそもEUを含む欧州の脱炭素社会実現への動きは、気候変動対策などをエキセントリックに叫ぶ若者や環境保護団体がフォーカスされがちであるが、それだけがこの動きを支えているわけではないともいわれてきた。

 20世紀から続くいまの産業構造を変革させて、次世代の産業におけるリーダー的立場に欧州を位置付ける、つまり“ゲームチェンジャー”になりたいとする、欧州の一部勢力も活発に動いているとも聞いている(つまりは金儲け)。

 中国がゼロエミッション車の開発及び普及に積極的な姿勢を示すのも、内燃機関搭載車では欧米や日本、韓国を追い抜くことが厳しいので、ゼロエミッション車でリーダーになろうとしていることも大きく影響しているとされているのと、様子は似ているようにも見える。

 欧州では2035年に内燃機関車の販売を全面的に禁止するとしている。しかし、多くの人がその動きを懐疑的に見ているのも事実、「そんなことできるのか?」とである。

 2022年2月24日、ロシアはウクライナへの軍事侵攻を開始し、本稿執筆時点では収束の気配すら感じない。このロシアの軍事侵攻により、欧州いや、世界のエネルギーバランスが崩れ、車両電動化の流れをさらに不透明なものにしていくのではないかともいわれている。

 しかし、今回LNG発電をグリーンエネルギーとして認める方針をEUは表明した。これこそまさに“ホトトキスが鳴いた(少し話が後退した)”であり、日本メーカーが、ホトトギスが鳴くのを待っていたなら、相当の策士ともいえるのだが、実際はそうではないようなので残念なところでもある。

■EV化への世界の動き

 最近日産自動車がエンジン開発を終了するというニュースが流れたが、それは欧州向けに限ったことであるとしている。どのような経緯で全面開発終了というニュアンスの報道になったかは定かではないし、少々雲行きは怪しくも見える。

 2035年に内燃機関車の販売を全面禁止するEUのエリアは限定的にも見えるが、現状世界一の自動車市場である、世界で最もBEVが普及している中国も2035年に内燃機関車の全廃を打ち出している。

 しかし、世界第二位の市場となるアメリカのバイデン政権は2030年に新車販売総台数のうち半分をゼロエミッション車にするとしている。

 世界第三位の自動車市場となる日本は、2030年代半ばまでに、HEVやPHEV(つまり内燃機関を搭載している)も含み、電動車以外の販売を禁止するとしている(いまのところ)。

 日本を追い抜く日も近いとされているインドでは、2030年に完全車両電動化すると打ち出したあと、完全電動化ではなく全体の40%にするなどと勢いを失っている。ほかの諸外国でも「●●年までに」と車両電動化に関するアピールも聞かれるが、「言うだけタダ」的な雰囲気が漂うケースも目立っている。

 車両電動化では欧州に勢いがあるので、2035年に地球上から内燃機関車がなくなってしまうようなイメージも伝わってしまうが、いままでの話は新車販売についてであり、「2035年になったら乗ってはいけない」としているわけではない。

 欧州ではクルマを長く乗り続けることが多く、少し前に某大都市を訪れた時には町じゅうにディーゼル車の排気ガスの臭いが漂っていて驚いたことがある。

 どちらにしろ、地球レベルで見れば内燃機関車の新車販売を全面禁止するまででも、時間を要することになるので、とくに後進国へ向けてのより燃費及び環境性能の高い内燃機関の開発はさらに重要性が増すように感じてならない。

 新興国や後進国でも“地球環境保護”との名のもとに、気候変動対策やSDGs(持続可能で多様性のある社会の実現へ向けた17の目標)への取り組みへの積極的参加が国際社会から求められている。

 しかし、それらの国々の一部からは先進国からの押し付けが強いとし、「新たな植民地政策のようだ」と感じるとの声も出始めている。そのような国々でも車両電動化へ向け活発に動く勢力があるというのだが、「環境性能に優れる内燃機関を開発及び製造できる日本勢へのけん制」と見る向きもある。

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