■廃車となったクルマは解体され、リサイクルか海外へ輸出される運命
廃車されたクルマはどうなる運命なのでしょう? 多くはふたつの運命です。ひとつはスクラップになる、もうひとつは海外に輸出される、です。
SDGsという観点から考えると海外に輸出して、使い続けられることが理想に近いのですが、なんだか日本で使わなくなったものを海外に輸出するということがどこまで正しいことなのか? 疑問が残る部分もあります。
今、世界では古着の行き先が問題になっているとの報道をテレビで見ました。途上国に古着を輸出して、安い服が手に入るようになると、その国の繊維産業が低迷する。そして着られずに余った古着はゴミの山となってしまうというのです。
こうした現象がクルマでも起きないとは限りません。また、日本で売れているクルマは軽自動車ですが、海外では軽自動車が規格や風土に合わないこともあります。そうなると軽自動車は行き場を失っていきます。
■現行自動車税で問題視される登録13年以降の重税措置。さらなる前倒しに繋がる危険性も⁉
今、日本では古いクルマへの重税が問題視されていています。自工会も自動車関連税制への要望は出していますが、保有10年での買い換えを促進するには11年目からの税金を高くするなど、クルマを手放しやすくなる方策を考えなければならず、国民の多くが望んでいる13年目以降の増税廃止とは逆方向に向かうことになりかねません。
今あるものを長く使うのは、実は長い目で見ればエコなのは言うまでもありません。いくらなんでも、初年度登録後10年でそのクルマの命が尽きてしまうのはちょっと早すぎる印象です。
買い換えという面を見ても15年くらいは乗ってもぜんぜんいいように思います。家電は壊れると買い換えますが、クルマは壊れる前に買い換える人が多くいます。それは価値のあるうちに売ってしまって、次のクルマに乗り替えていくからなのですが、使い切るということも考えていいのではないでしょうか?
家電はあまり人に見られることがありませんが、クルマは人に見られるため、新しいものに乗っていたいということもあるかもしれません。しかし、それが必ずしも正しいということではないと思います。古いクルマに乗っていることは恥ずかしいなどという風潮こそ恥ずかしいと私は思います。
■国の思うツボにならず、ポジティブな新車販売促進策を考え、提案すべき時期だ!!
国内でのクルマの販売台数を増やす方法はほかにいくらでもあります。まずは景気をよくすることです。景気がよくなってお金が回るようになればクルマを買う人は増えます。このコロナ禍のなかで、海外旅行などでお金が使えなくなった富裕層はクルマの買い換えなどに積極的なため高級車は売れていると言います。
また、税金を安くすればクルマの買い増しも増えることでしょう。私は10年以上も前から重量税を廃止して定員税にするべきだと言ってきています。不要な多人数乗車モデルを減らせば、エネルギーの浪費を減らせます。1名につきいくら、という設定にして、税額は乗車定員×金額で算出します。それだけだと家族が多い家庭は税金が増えることになってしまうので、家族の数に応じて還付も行います。
さらに買い増し促進のために2台目以降は減税も行います。特に2台目以降の2シーターモデルなどは税金をグッと引き下げるようにすれば、販売は伸びることでしょう。何もミニバンやSUVで通勤や通学をする必要はなく、通勤通学なら2シーターでもいいのです。
2シーターなら税金が安い……なんてことになったら、2シーターのクルマが増えますよね。そうなったら、スポーツカーが生き残るための大義名分になるじゃないですか。世界から「日本はスポーツカーがいっぱい走っている国なんだ。さすが自動車が主要産業の国だよね」と言われるでしょう。
そしてそうしたことを実現するには、黙って指をくわえて国の言うとおりにしていたらダメです。まずは自工会として国会に議員を送りこんで、税制や免許制度、理不尽な交通取り締まりなどを変革しなければ実現しないでしょう。550万人の代表が国政に参加するべきなのです。
【画像ギャラリー】クルマも高齢化!? 愛車に長く乗ると景気はよくならない?? その謎に迫る(11枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方