長所・短所はノア・ヴォクシーであること。やっぱりアルファードも欲しくなる?
実際にノアのガソリン・ハイブリッド両モデルに乗ってみると、先代からの大きな進化を感じる。着座位置はハイトミニバン独特なものがあるが、シャシーやボディには、しっかりとした剛性を感じ、ミニバン特有の「ゆるっと」「フワッと」感は非常に少ない。
2.0Lガソリンモデルに関しては、もう少し「音」の面で成長が欲しかったと個人的には感じる。3000回転前後で大きめのエンジン音が車内に入り込み、アクセルを踏み込んだ際に少々安っぽさが顔を出すが、価格帯を考えれば及第点だろう。
対して1.8Lの新世代ハイブリッドは見事の一言。必要なパワーは充分に発揮され、動きもスムーズだ。ハイブリットだけで比べれば、アルファードのような車格が上のクルマとも、しっかりと勝負できる。
新型ノア・ヴォクシーに関しては、乗れば乗るほど良さがわかる。いっぽうで、2列目シートに対する不満が多く出てくるのもまた事実。これだけの広さと機能性を備えたなら、ぜひオットマンくらいは欲しいなと感じてしまうのだが、標準装備はされていない。
ノア・ヴォクシーにオットマンを備えるためには、快適利便パッケージ(約15万円)をオプションで追加する必要がある。それも上級グレードのZとS-Zでのみ装着可能だ。アルファードならベースグレードのXでも標準装備されるものだけに、大きな差を感じる。
金額の面で見ても、ノアのハイブリッドS-Z(367万円)に、快適利便パッケージなどのオプションをつけていくと、アルファードのハイブリッド特別仕様車S TYPE GOLD(449万5000円)にも手が届きそうになってくるのだ。
筆者もノアで本気の見積りを作ってみたが、これだったらアルファードを買ったほうが良いかもと思ってしまった。やはり絶対的な「質」の部分では、アルファードがノア・ヴォクシーをはるかにしのいでいることが分かってくる。
販売現場で話を聞くと、ノア・ヴォクシーがアルファード目当てのユーザーに買われていくことは少ないという。ただし、アルファードがノア・ヴォクシー目当てのユーザーを食うことはあるようだ。それでも、しっかりと両者の間に線は引かれている。
リセールバリューはどちらも高く、2022年3月現在の販売店設定残価率は3年で6割程度と充分。買いやすさの面では、ノア・ヴォクシーがアルファードに追い付いた形になるが、それでもミニバン界のトップに君臨するアルファードの立場を、揺るがすまでには至らない。
最新のノア・ヴォクシーに対して、デビューから7年が経過するアルファードが同列に立てるというのも驚異的だ。それだけ3代目アルファードの完成度が高いということにもなる。
かなり良いところまで成長したがノア・ヴォクシーだが、王者としてのアルファードはまだまだ健在だ。ノアヴォクとアルヴェルは、互いに協力しながら相乗効果を発揮し、トヨタをミニバンのトップメーカーへ成長させていくのだろう。
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