「指揮者が必要だった」R32スカイラインGT-R開発秘話【日本自動車界の至宝GT-R三代(1)】

RB26エンジンはベースを変更せずにアップデートできるように開発した

第2世代GT-Rが幕を閉じて20年。今だから話せる開発秘話を開発担当者に聞いた!
R32スカイラインGT−Rのリアスタイル

 また、搭載しているRB26型2.6L直列6気筒ツインターボエンジンに関しては、櫻井さんが開発を担当していた時代から、高性能エンジンをスカイラインに載せたいと考えていた。ずっとL20でやってきて、ターボを装着したりしてパワーアップはしたけれども、結局は根本が治っていない。

 そのために櫻井さんはDOHCのS20のようなエンジンが欲しかったのだが、当時日産自動車にそのエンジンを作るだけの体力がなかった。体力だけでなく気力もなかった。そういう状況だったので、スカイラインにはずっとL型エンジンを搭載していたら、だんだんと人気が落ちてきた。

 何とか新エンジンを載せたいということで、たまたまシルビアにも搭載できるエンジンだった開発しても良いということになり、それで開発したのが、FJ20型2L直列4気筒エンジン。DOHCの4バルブというのが目標に開発された。

 しかし、当時の馬力競争に巻き込まれて最初は自然吸気で最高出力150psを発生してスゴイエンジンだった。しかしトヨタソアラが最高出力170psを発生する2.8L直列6気筒エンジンを搭載した。これは黙っちゃいられないということになり、FJ20にターボを付けてグロス190psにパワーアップして。史上最強と名乗った。

 その後、ソアラは230psとなり、そしてスカイラインはFJ20にインタークーラーを付けて、最高出力205psまで向上させた。こういうことをしたのはスカイラインとしては仕方がないと思うけれども、やっぱり最強を期待されているクルマだから、それより上の性能のクルマが出てしまうと対抗しなければならない。

 しかし購入するユーザーから見たら、せっかく自分が最高のクルマを購入したと思ったら、何年のしないうちにアップデートされた最高のクルマが出てくる。結果的にこのことはお客さんを裏切るようなことになった。もうそういうことはやってはいけない。ということを歴史から学んだ。

 R32をやるときもGT-Rをやるのであれば、ずっと性能でそれより上を出すというのではなく、付属品を出してあるいは前買った人が部品だけを付ければその最新のスペックにアップデートできるというやり方ならば、お客さんも納得してくれる。そう思ってRB26型エンジンを開発した。

 レースに勝つために開発したエンジンだが、販売開始して以降、何回も改良している。優れているのは基本性能をはじめ、冷却性能とかオイル周り。個人的には日産自動車の中で非常に考えられたエンジンだと思っていると話す。

R32型スカイラインGT-Rは、ちょっと背伸びをしてもらえれば、手が届くような販売価格に決めた。今考えれば、安いかもしれないが、だから4万4000台も売れたのだ。

 商売をするというのはお客様あってのことので、お客様のことを考えてながら商品を作らなければならないと思っている。だから良い商品、高い商品を作れば良いということではない。あくまでも使ってくれるお客様があってこその商品だと思ってあの販売価格に決めたと笑顔で話してくれた。

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